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たんぱく質とは?
たんぱく質(漢字では蛋白質、学術用語としてはタンパク質、と書きます)は、アミノ酸が数珠つなぎになったものですが、実際のイメージは、100~200個程度のアミノ酸がまとまって出来たお団子がいくつかヒモで連結されているという物が多いようです。
カルパインとは?
私たちが研究している「カルパイン」とは、たんぱく質でできた「酵素」の一種で、他のたんぱく質のお団子の間のヒモの部分をハサミのように切断する「タンパク質分解酵素(プロテアーゼと呼ばれます)」です。
では、ヒモを切るとたんぱく質はどうなるのでしょう?
まず、たんぱく質の形が変わります。その結果、様々な変化がたんぱく質に起きます。
カルパインはどのように働いているの?
細胞は、そして、その集合体である私たちは、生きていく上で、様々なストレスや変化に遭遇するわけですが、これらに速やかに対応してそれ相応の対策を講じないと身体の調子が悪くなってしまいます。カルパインによってもたらされる上記のようなたんぱく質の変化は、細胞の中での対応策の一環なのです。つまり、ストレスや変化を感知してカルパインは様々なたんぱく質を調節的に切断し、細胞内の環境を変換・調整してより良い状態に刷新しています(英語でリノベーション(renovation)といいます)。変換するもののことを英語でモジュレータ(modulator)というため、カルパインのことをモジュレータ・プロテアーゼと呼ぶこともあります。
カルパインの調子が悪くなるとどうなってしまうの?
私たち人間は15種類のカルパインの遺伝子を持っていますが、例えばその3番目の「CAPN3(「カルパイン・スリー」と呼びます。p94とも呼ばれていました)」というカルパインが遺伝子の変異により働くことができなくなってしまうと、筋肉が徐々に弱って最後には寝たきりになってしまう「筋ジストロフィー」という病気になります。また、8番目の「CAPN8(nCL-2とも呼ばれました)」は胃潰瘍、10番目の「CAPN10」は糖尿病と関係しています。ネズミを使った研究からは2番目の「CAPN2」がダメになると、生きていくことができなくなってしまうこともわかっています。
このように、私たちの健康な身体になくてはならないカルパインですが、カルパインの調子悪くなって病気になったときは、どうすれば良いでしょうか?
カルパインを元気にしてやれば病気も良くなるかもしれません。私たちのプロジェクトでは、とても大事な酵素であるカルパインを研究して、カルパインが細胞の中でどのように働いているのか、を明らかにしようとしています。これらの知識をもとに、様々な病気のより良い診断・治療・予防法を考えようとしています。
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