都医学研セミナー
東京都医学総合研究所 職員表彰受賞者セミナー
座長
長谷川 成人
普及事業企画委員 委員長
普及事業企画委員 委員長
講師及び演題
- 感染制御プロジェクト 安井 文彦 主任研究員
「組換え生インフルエンザワクチンの開発」 - 心の健康プロジェクト 西田 淳志 主任研究員
「青年期の心の病の早期支援」 - 動物実験開発室長 多屋 長治 副参事基盤技術研究職員
「基盤技術研究センター動物実験開発室について」
会場
(財)東京都医学総合研究所 2階講堂
日時
平成24年2月6日(月)15:00
講演要旨
「組換え生インフルエンザワクチンの開発」
(感染制御プロジェクト 安井 文彦 主任研究員)
H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1 HPAIV)は、重症肺炎である急性呼吸器窮迫症候群(ARDS)を介して多臓器不全を引き起こし、約60%の患者を死に至らしめる。その被害は、中東・アジアを中心とした地域に限局されているが、ヒトはH5N1 HPAIVに対する免疫を有しておらず、その世界的な大流行が危惧されている。マウスモデルでの解析結果から、H5N1 HPAIVは、低病原性インフルエンザウイルス感染時と比較して宿主の免疫応答が非常に低く、体内でのウイルス排除が遅延する事によって重症肺炎を惹起している可能性が示された。
現在、製造・備蓄されているH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス用プレパンデミックワクチンは、全粒子不活化ワクチンである為、免疫誘導能が低く、少なくとも2回の接種を必要とする。因って、発症防御に十分な免疫を獲得するまでに少なくとも1か月以上の時間を要する。これは、急速に世界へ蔓延するインフルエンザに対しては不利である。そこで、本研究では、H5N1 HPAIV感染に対する予防対策として、安全かつ単回接種で様々なウイルス株に対して防御効果を発揮できる新規インフルエンザ組換え生ワクチンの開発を目指した。我々は、天然痘ワクチンとしてヒトに使用された実績を有し、安全性が確認されているワクシニアウイルスLC16m8株の高い免疫誘導能に着目し、このウイルスを母体としたインフルエンザウイルスのヘマグルチニン蛋白質遺伝子を発現する新規組換えインフルエンザ生ワクチンを作出した。本ワクチンは、霊長類モデルであるカニクイザルにおいて、皮内への単回接種によりH5N1 HPAIVによる致死性攻撃感染に対しても十分な発症防御効果を示した。本講演では、H5N1 HPAI感染による重症肺炎発症機序の解析及びワクチンによるその発症防御の有効性について議論したい。
現在、製造・備蓄されているH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス用プレパンデミックワクチンは、全粒子不活化ワクチンである為、免疫誘導能が低く、少なくとも2回の接種を必要とする。因って、発症防御に十分な免疫を獲得するまでに少なくとも1か月以上の時間を要する。これは、急速に世界へ蔓延するインフルエンザに対しては不利である。そこで、本研究では、H5N1 HPAIV感染に対する予防対策として、安全かつ単回接種で様々なウイルス株に対して防御効果を発揮できる新規インフルエンザ組換え生ワクチンの開発を目指した。我々は、天然痘ワクチンとしてヒトに使用された実績を有し、安全性が確認されているワクシニアウイルスLC16m8株の高い免疫誘導能に着目し、このウイルスを母体としたインフルエンザウイルスのヘマグルチニン蛋白質遺伝子を発現する新規組換えインフルエンザ生ワクチンを作出した。本ワクチンは、霊長類モデルであるカニクイザルにおいて、皮内への単回接種によりH5N1 HPAIVによる致死性攻撃感染に対しても十分な発症防御効果を示した。本講演では、H5N1 HPAI感染による重症肺炎発症機序の解析及びワクチンによるその発症防御の有効性について議論したい。
「青年期の心の病の早期支援」
(心の健康プロジェクト 西田 淳志 主任研究員)
精神疾患は若年人口における最大の健康被害要因であり、成人期以降のライフアウトカムにも多大な影響を与える。一方、青年期の若者が心の病を体験した際、適切な相談・支援・治療につながるまでの平均期間は年単位におよび、また、初期の支援・治療からの脱落などにより重症・慢性化し、回復が困難となる例が少なくない。精神疾患がもたらす若者へのダメージを最小限にするための研究や臨床実践、公衆衛生的取り組みが、現在、各国において喫緊の課題として進められている。演者らは主として若年期に初発する統合失調症などの精神病性疾患(psychosis)の発症プロセスを疫学的アプローチによって検討し、効果的な早期支援のあり方を見出すための研究と実践を行ってきた。特に思春期早期に精神病症状体験を有する子どもたちの精神病発症リスクが極めて高いことが諸外国の疫学研究で明らかとなったことを踏まえ、かかる子どもたちの実態を明らかにすべく約2万人の思春期・青年期地域標本を対象とした大規模疫学研究を実施した。各国の先行研究と同様に10%以上に精神病症状体験が認められ、そうした若者たちは、すでに様々な生活上の困難や自殺関連問題などを有意に多く体験していることが確認された。また、そうした問題が深刻な者ほど援助希求行動が抑制されている実態も明らかとなり、かかる若者への効果的な早期支援アプローチの必要性が示唆されている。こうした知見を踏まえながら、現在、10代思春期集団を前方視的に追跡する複数の新たなコホート研究に着手している。
「基盤技術研究センター動物実験開発室について」
(動物実験開発室長 多屋 長治 副参事基盤技術研究職員)
基盤技術研究センター動物実験開発室は実験動物管理室と遺伝子改変動物室からなり、実験動物管理室は職員3名(常勤1名、非常勤2名)の体制で実験動物施設の管理業務を、また、遺伝子改変動物室は職員5名(常勤4名、非常勤1名)で、遺伝子改変マウスの作製、キメラマウスの作製、ES細胞へのgene targeting、受精卵・精子の凍結保存、体外授精などの発生・生殖工学的手法による研究支援を行っています。
遺伝子改変マウスの作製は1989年のポリオウイルス感受性マウスの作出に始まり、これまで多数の遺伝子改変マウスを提供し研究に活用され、また、疾患モデルとして実用化されています。受精卵の凍結保存は不慮の事故や使用済み系統の保存に対応するため1980代半ばから開始し、現在、数百の系統が保存されています。研究所の移転に当たっては事前に維持系統を凍結保存することにより、移転時の経費削減と効率化、また、動物のクリーニング(SPF化)を同時に行いました。
この度、これまでの研究支援業務に対して理事長職員表彰を受けることとなり、研究のみならず基盤技術研究センターの研究技術支援に対しても評価をいただいたことを感謝いたします。本セミナーでは、新研究所の実験動物施設の概要と共に、旧研究所動物施設から新施設への移転作業を含め、動物実験開発室で行っている研究支援業務について紹介します。
遺伝子改変マウスの作製は1989年のポリオウイルス感受性マウスの作出に始まり、これまで多数の遺伝子改変マウスを提供し研究に活用され、また、疾患モデルとして実用化されています。受精卵の凍結保存は不慮の事故や使用済み系統の保存に対応するため1980代半ばから開始し、現在、数百の系統が保存されています。研究所の移転に当たっては事前に維持系統を凍結保存することにより、移転時の経費削減と効率化、また、動物のクリーニング(SPF化)を同時に行いました。
この度、これまでの研究支援業務に対して理事長職員表彰を受けることとなり、研究のみならず基盤技術研究センターの研究技術支援に対しても評価をいただいたことを感謝いたします。本セミナーでは、新研究所の実験動物施設の概要と共に、旧研究所動物施設から新施設への移転作業を含め、動物実験開発室で行っている研究支援業務について紹介します。
参加自由
詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ
(財)東京都医学総合研究所 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109
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