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開催報告などを掲載しています。



平成26年12月3日

平成26年度 第6回都医学研 都民講座:「知っていますか?レビー小体型認知症」

会場:津田ホール

講師:横浜市立大学 名誉教授小阪 憲司

12月3日(水)、公益財団法人東京都医学総合研究所は津田ホールにおいて「知っていますか?レビー小体型認知症」と題し、横浜市立大学名誉教授の阪憲司先生(左 写真)を講師にお迎えして、第6回都医学研民講座を開催しました。

今回の講演では、小阪先生から最初に「高齢者認知症」ついて説明がありました。厚生労働省の発表では65 歳以上の 人歳以上の15%が認知症であること、 認知症の原因は大きく「アルツハイマー型 (50%)」「レビー小体型(20%)」「脳血管型(15%)」の 3つに分かれること、レビ ー小体型認知症の頻度が高い 割には、まだ充分られてー小体型認知症の頻度が高い 割には、まだ充分られてー小体型認知症の頻度が高い割には、まだ充分に知られていないこと、診断が難しいこと等の解説がありました。

次に、「レビー小体型認知症の歴史」ついてお話がありました。今から100 年前、パーキンソ病の患者さん脳からレビー小体が発見れたこと。その後、長らくビー小体は脳幹のみで、 大皮質に見られないという常識が広まる中、1976年に、小阪先生が最初のレビー体型認知症を報告したこと。その後も症例を報告し、1984年には「びまん性レビー小体病」と名づけたこ。それ以降、 欧米でも注目さるようなり1996年には診断基準を発表、臨床診断が可能になったこと等ついてお話がありました。

最後に、「早期診断の重要性とその回復」ついて研究で知見を交え、解説されました。他の病気と誤診れると、服用す薬によっては症状がかえって悪くなこ。またレビー小体型認知症であること見逃し、治療が遅れると回復がより困難になること等について、多くの臨床例を交え紹介ただきました。

介護には「家族の支援」も大切とのお話のとおり、講演後質問で個別ケースについて親身なっ丁寧に回答されるその姿からは、一人の臨床医として家族を大切にするという想の強さが、ひしひしと伝わってきまた。

講演終了後のアンケートでも「当事者家族として、今後の参考になりました。 」、「わかりやすかった。」とい声が寄せられるなど充実し講演会となりました。 


平成26年10月17日

平成26年度 第5回都医学研 都民講座:「ウイルス感染症と戦う」

会場:津田ホール

講師:ウイルス感染プロジェクトリーダー 小池 智
国立感染症研究所・エイズ研究センター センター長俣野 哲朗

第5回都民講座が去る平成26年10月17日(金曜日)、千駄ヶ谷の津田ホールにて行われました。

今回は『ウイルス感染症と戦う』というテーマを掲げ、東京都医学総合研究所が主催し、文科省新学術領域研究班「ウイルス感染現象における宿主細胞コンピテンシーの分子基盤」の共催として行わせていただきました。本年もエボラウイルスのアフリカでの流行や我が国でのデングウイルスの流行があり、ウイルス感染症に関する関心や危機感が高まっているところです。そのような背景もあり、当日108名の方々が講座に参加されました。

講座はまず、筆者がウイルスの特徴、感染のメカニズム、ウイルスと宿主の戦いについて概説しました。その後私が「手足口病の重症化を探る」というタイトルで、近年アジア諸国で大きな流行を見せているエンテロウイルス71による手足口病の現状を概説し、その対策として我々が行なっている都プロジェクト研究並びに新学術領域研究班としての取り組みについて説明させていただきました。続いて国立感染症研究所・エイズ研究センター・センター長の俣野哲朗先生に「エイズ克服へのチャレンジ」というタイトルで、現在の世界並びに日本にエイズの発症状況、発症のメカニズム、行政の取り組み、さらにご自身の研究であるエイズワクチン開発について非常に分り易い解説をしていただきました。

我が国では高校までの教育課程の中にウイルス感染症の教育はありません。従ってウイルス感染症に対する知識の浸透は非常に大切なことです。講座を通じてウイルス感染症研究の重要性と困難さはご理解いただくことができたのではないかと考えております。また、日頃は都民の方々に直接研究成果を伝える機会はあまりないので、この機会に基礎研究から都民への還元の連続性を考えることの重要性を再認識することができた次第です。一部の方々から内容が難しいとお叱りも頂きましたことは反省点として、ご参加いただいた方々に深く感謝申し上げます。 

平成26年10月8日

世界脳週間講演会を開催しました

10月8日(水)、公益財団法人東京都医学総合研究所は、東京学芸大学附属高等学校において「のぞいてみよう脳神経科学」と題し「世界脳週間 2014講演会」を開催しました。

「世界脳週間」とは、脳科学の科学的な意義と社会にとっての重要性を一般の方々に理解いただくことを目的として、世界的な規模で行われるキャンペーンです。日本でもこの「世界脳週間」の意義に賛同し、「脳の世紀実行委員会(現・特定非営利活動法人 脳の世紀推進会議)」が主体となり、高校生を主な対象として講演会等の事業が行われています。

当研究所も、「脳の世紀推進会議」から世界脳週間参加事業の実施委託を受け、東京学芸大学附属高等学校において当研究所の研究員を講師とした講演会を開催しました。

今回の講演会では、最初に、松野元美研究員が「記憶の仕組み」と題し、「記憶の仕組みはどうなっているのだろうか?」というテーマでお話がありました。まず、単純な構造の脳を持った動物を使って記憶の仕組みの研究を進めてきたこと、記憶をつくるには遺伝子が必要であること、そして記憶に関わる遺伝子の見つけ方などのお話しがありました。中でも、記憶に関わる遺伝子は、ハエからほ乳類までほぼ一緒であるということの説明には、皆意外そうな表情をしていました。次に「記憶はどうしたら良くなるか?」では、一夜漬けよりも繰り返し復習する方が効果があること、記憶には睡眠が深く関っていること、また、空腹が記憶力をアップさせることなど、最新の研究成果が披露されました。

島田忠之研究員は「神経細胞が正しい標的に向かって伸びるための仕組み」と題し、講演を行いました。最初に、神経細胞について解説をした後、「軸索の伸長」「軸索のガイダンス」「枝分かれの制御と疾病」という3つのテーマでお話がありました。「軸索の伸長」では、軸索が伸びるときに何が起きるのか、伸びるために必要な環境として、クラッチタンパク質というものが、軸索が伸びるための足場として重要だということについて、動画を交えながら解説がありました。次に「軸索ガイダンス」では、正しい方向に導く因子群(ガイダンス因子)が数多くあり、ガイダンス因子を受け止める受容体(レセプター)も、沢山あるという説明がありました。方向制御の実例として、身体の左右の情報を伝える重要な神経(交連神経)の軸索伸長について取り上げました。交連神経は、最初、ガイダンス因子は濃度が濃い方に伸びていくが、ガイダンス因子の濃度が一定に高まると、今度は方向を変えて、濃度の薄い方に伸びていくという巧妙な仕組みには、驚きがありました。最後に「枝分かれの制御と疾病」では、軸索の枝分かれが正確に制御されれば、記憶や学習に役立つが、枝分かれが多すぎると病気を招くということの最新の研究成果も紹介されました。

高校生たちは、興味深く耳を傾け、最初から最後までメモをとったり、いくつもの質問をしたりするなど、眠気とは無縁の熱心な講演会でした。

平成26年9月19日

平成26年度 第4回都医学研 都民講座:若年性認知症を地域で支えるために

会場:津田ホール

講師:熊本大学神経精神科教授 池田 学

「若年性認知症」とは64歳までに認知症を発症する場合を言います。老年期(65歳以上)発症の認知症と異なり、家計や家庭を支えている年代であること、高齢者の場合より社会的支援体制が不十分であることなど、多くの問題を抱える領域です。講師の池田学熊本大学教授は、本邦における認知症臨床医学の中心的研究者・指導者のひとりであるとともに、全国に先駆けて、熊本県において、認知症疾患医療センターを核とする認知症の医療・支援体制を構築したことでも知られています。その手法は「熊本モデル」と呼ばれ、他の地域における認知症疾患医療センター整備の見本となっています。

池田先生の講演は、まず若年性認知症の診断の難しさを説明することから始まりました。老年期の認知症は発症から平均3年で専門外来を受診するのに対して、若年性認知症では平均5年を要するという調査結果が示されました。本人・家族にも、かかりつけ医にも、「まさかこの年齢で認知症とは、、、」という先入観があります。さらに、臨床像が高齢発症の場合と異なることがあります。まず、高齢者では過半数を占めるアルツハイマー病の割合がやや低く、かわりに前頭側頭型認知症が多い、アルツハイマー病であっても若年性の場合は、男女差がなく(高齢では女性>男性)、記憶障害はやや軽く、一方、注意障害、視空間性障害、言語理解障害などは重い傾向があるなど病像が異なります。

適切に診断されたとしても、その後の治療や介護に難しい点があります。仕事をどうするか、それに関連して家庭の経済的問題、デイケアに通う場合でも対応可能な施設が少ないこと(居場所のなさ~大半の施設は高齢者を前提としたプログラムを提供している)などが若年性認知症の医療・介護を困難にしています。さらに行動症状が強く社会的トラブルを引き起こすことが多い前頭側頭型認知症の割合が大きいことも問題です。

このような説明の後、上述の「熊本モデル」はこのような若年性認知症の当事者・家族を支える機能も果たしていることが紹介されました。熊本大学が基幹型センターとなって人材育成につとめ、県内9ヶ所に設置した地域拠点型センター(県内全域に“乗用車で30分以内の距離”を目安に配置されている)に専門家を派遣して、そこを起点として地域包括支援センターやかかりつけ医との連携をはかることで、より専門性の高い医療・支援の提供が可能になったということでした。


平成26年8月24日

サイエンスカフェin上北沢「ストレスと音楽を科学する」

会場:東京都医学総合研究所 講堂

8月24日(日)、(公財)東京都医学総合研究所の講堂において、「サイエンスカフェin上北沢ストレスと音楽を科学する」が開催されました。サイエンスカフェは、お茶や音楽とともに気楽な雰囲気の中で、身近なサイエンスについて研究者と自由に語り合う場です。

第16回目のサイエンスカフェとなる今回は、ストレス反応や、音楽と言語の不思議な関係などについて、当研究所の林雅晴研究員(脳発達・神経再生研究分野)が話題提供をしました。まず前半では、「ストレス反応とは?」というテーマで、体にストレスが加わると刺激が脳に伝わり、内分泌系を介して、体にストレス反応が生じることについて解説がありました。次に「唾液中のアミラーゼ測定」について、測定結果でストレス度合いを調べられることや、計測の仕方などについて説明がありました。

参加者の方全員で、計3回の唾液アミラーゼ計測をしました。第1回目は、何もしない状態での計測。第2回目は、歌を歌った後の計測。第3回目は、ゆったりと音楽鑑賞をした後の計測。実験前の予測では、人前で歌を歌うことのストレスによ り、測定値が上がり、音楽鑑賞の後では、リラックスすることで、測定値は下がる予定でした。しかしながら、実際には多くの方が、3回目の計測で、数値が上がりました。

質問タイムでは「何故、音楽を聴いた後、ストレスレベルが上がったのか?」との質問に対しては、仮説ではあるが、少し照明を落とした雰囲気の中で音楽を聴くことは、一人であればストレスとならないが、本日初対面の人と、照明を落とした空間で時間を共有することが、逆にストレスになったのではないかということでした。

アミラーゼ計測の体験の他、クイズをしたり自由に研究員とお話ししたりと、工夫をこらした内容に、参加者からは「無料であることが申し訳ないほどのよいサイエンスカフェでした。」、「ウィットに富んだ進行も最後まで楽しく参加させ ていただくことが出来ました。」、「多くの方がとても丁寧に関わって下さり、感動しました。」といった声が多数寄せられました。

都民の皆さんの研究所として、今後もこうした催し物を実施していきます。

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