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開催報告などを掲載しています。



平成27年6月4日

第2回都医学研都民講座を開催しました。

会場:一橋講堂

6月4日(木)、公益財団法人東京都医学総合研究所は一橋講堂において、「マウスと日本人」と題し、当研究所 米川博通研究員を講師として、第2回都医学研都民講座を開催しました。

今回の講演では、米川研究員から最初にネズミは害獣である旨の説明があった。その後、マウスの名前の由来、系統、なぜ実験に利用されるかなど分かり易くお話しされました。

次に、毛変わりマウスのいろいろな種類の説明、実験用マウスの改良とその成果、野生マウスから実験用マウスまでの道筋などの専門的な説明がありました。近交系(※1)マウスを作るために兄弟交配を繰り返すと、世代が進むにつれて遺伝子がホモ化してゆくそうです。同じ系統に属する個体の遺伝子の組成は全て同一であり、一卵性双生児と同じ状態を作り出せるとのことでした。

また、突然変異についての説明があり、非常に強い突然変異は近交系かどうかにかかわらず表現型(※2)として出現し、他の遺伝子は無関係であるとのことでした。研究や実験に重要な役割を果たす無菌マウスは、妊娠マウスを帝王切開し新生仔を取り出し、ビニールのアイソレータ(※3)の中で保育することにより無菌状態のまま成長させるとのことでした。

次に腸内細菌についてのお話しがありました。ヒトや動物の腸の内部に生息している細菌は、一人当たり100種類以上、100兆個以上の腸内細菌が生息している。その構造は、ビタミン合成、消化・吸収、感染制御、免疫刺激などの有用性に働くもの、腸内腐敗や細菌毒素、発がん物質の産生などの有害性に働くもの、病原性に働くものなどで構成されているとのことでした。大腸菌の菌数は糞便1gあたり100万個前後存在するとのお話しもありました。

最後に、マウスに関する江戸時代の古書やマウスの飼育法、野生マウスは4郡に分かれることなどマウスに関する様々な歴史、データを披露されました。

講演終了後のアンケートでも「わかりやすかった」「とても参考になりました」といった声が寄せられるなど、充実した講演会となりました。

※1近交系…兄妹交配を繰り返し、形質の異なる個体を分離する事によって作りだされた遺伝的に均一な動植物の個体群

※2表現型…生物の持つ遺伝子型が形質として表現されたものであり、形態、構造、行動、生理的性質などを含む



平成27年4月24日

第1回都医学研都民講座を開催しました。

会場:東京都医学総合研究所 講堂

第1回都医学研都民講座は、4月24日(金)、都医学研において昭和大学発達障害医療研究所 加藤進昌所長を講師にお迎えし、当研究所の上野太郎研究員とともに、「睡眠研究の最前線」と題し、講座を開催しました。

今回の講演では、最初に上野研究員から少子高齢化など現代日本社会の課題と対策についてお話しがありました。24時間社会となり、日本人は年々睡眠時間が減少し、世界的に見ても睡眠時間が短くなっていること、睡眠障害による日本の経済損失が年間3.5兆円に上ることなどの説明をいただきました。また、不眠による健康への影響や、不眠症は高血圧症、うつ病のリスクとなるとのお話しがありました。

次に、過眠症状を示す疾患であるナルコレプシーの理解に基礎研究が果たしてきた役割や、睡眠の行動学的定義やショウジョウバエを用いた睡眠の遺伝学的研究についてのご説明がありました。

最後にゲノム解析・編集により、更に進歩し、医療に繋がることを目指す次世代型睡眠研究についてのご発言で終わりました。

その後、「大人の発達障害を研究する」を題目に加藤先生からお話がありました。まず、大人の発達障害として広汎性発達障害(PDD)や学習障害(LD)、睡眠障害としてナルコレプシーなどの非器質性睡眠障害、睡眠・覚醒スケジュール障害などについて、わかりやすいご説明がありました。

また、ADHDの病態生理として1900年代に行動障害を持つ児童に対して中枢刺激薬で治療を行ったところ半数に目覚ましい改善が見られ、その後動物実験により改善原因の追究を行ったというご説明や、中枢刺激薬の有効性が30年近い臨床使用の実績や100を超える臨床試験成績によって示されていること、日本ではリタリンが使用できずコンサータが発売されたことなどのご説明がありました。

講演会終了後、希望者を対象に、6グループに分かれ、研究室を見学していただきました。見学者からは、「普段、入ることの出来ない研究室が見学出来てとてもよかった。」「熱心に説明いただき、貴重な体験となった。」等、とても満足していただきました。

※リタリン・コンサータ…中枢刺激薬の一種。


平成27年4月18日

科学技術週間特別行事に参加しました。

会場:日本科学未来館

4月18日(土)、4月19日(日)の2日間、(公財)東京都医学総合研究所では、日本科学未来館において、「君と僕を区別するもの 遺伝子DNA 見てみよう 調べてみよう 作ってみよう」と題し、実験、観察、工作教室を行いました。

この行事は、「-Tokyoふしぎ祭サイエンス-」をキャッチフレーズに、東京都各局や首都大学東京、各研究・教育機関等が一堂に会して研究・技術について分かりやすく紹介するものです。

京都医学総合研究所からは、「見てみよう」、「調べてみよう」、「作ってみよう」という3つのテーマで、来場者に直接実験等に参加していただく「体験展示」を実施しました。

『君にはDNAが見えたかな?』では、タラの白子からDNAを取り出す実験をしました。参加者全員が、研究員の説明に真剣に耳を傾け、途中、研究員の手助けも受けながら、なんとか慣れない実験をやり遂げました。結果、DNAを取り出し、記念写真を撮ってその写真が配られると、白衣に身を包んだ小学生等からは満面の笑みがこぼれ、驚きの声が響きました。

『のぞいてみよう!アレルギーの世界!!』では、身近であるが肉眼では見えずらい花粉とダニやアレルギーに反応するリンパ球などを、鮮やかに映し出す蛍光顕微鏡を使用してモニターで観察しました。普段研究に使用している顕微鏡も別に3台使用し、動いているダニを見た参加者からは「動いてる!」との喜びの声が響きました。また、時期的に参加者の関心が高い花粉症について研究員に熱心に質問している参加者の姿が見受けられました。

『遺伝子ってなぁに?DNAのひみつ』では、DNAが体の設計図であること。60兆個の細胞一つひとつに、約2mのDNAが入っていること等を学んだあと、DNAの形を模したストラップ作りに挑戦しました。集中して親子で協力し、熱心に作業している姿が印象的でした。

担当した研究者は、前日からの実験準備に始まり、息つく暇もないほどの慌ただしさではありましたが、普段は直接、接することの少ない都民の皆様に研究内容を披露する貴重な機会となり、当財団にとって有意義なイベントとなりました。



平成27年3月08日

サイエンスカフェin上北沢 「ウイルスを見てみよう」を開催しました。

会場:東京都医学総合研究所 講堂

3月8日(日)、公益財団法人東京都医学総合研究所の講堂において、「サイエンスカフェin上北沢 ウイルスを見てみよう」が開催されました。サイエンスカフェは、お茶や音楽とともに気楽な雰囲気の中で、身近なサイエンスについて研究者と自由に語り合う場です。

第18回のサイエンスカフェとなる今回は、肉眼ではもちろん、一般の顕微鏡を使っても見ることができないウイルスについて、当研究所の大岡静衣研究員が話題提供をしました。まず前半では、「ウイルスは生物か?非生物か?」というテーマで、ウイルスが持つ特徴についてイラストを交えて解説がありました。

後半の体験では、インフルエンザウイルスが感染伝播する様子を、「感染伝播シミュレーション」を通じて、体感していただきました。全員が手袋をして(ひとつの手袋だけに蛍光物質が付着していますが、自然光の下では見えません)、任意の人と握手をしていきます。そして、UV光源の下で、手袋が光るか確認するというシミュレーションです。蛍光物質がついた手袋を最初にしていた人(疑似的な感染源)が明らかになると、熱心に伝播の仕方(蛍光物質が握手で他人に移っていく様子)を追跡するなど、会場全体で盛り上がりました。

次に、ウイルス観察では、「電子顕微鏡自体うまれて初めて見ました。」、「ウイルスがくっきり見えた。」など、1万倍に拡大された世界に驚いていました。インフルエンザウイルス感染診断の体験や、インフルエンザの診断時間を半減させることに成功した機器の紹介など、工夫をこらした内容に、参加者からは「研究員の方が丁寧に分かり易く説明してくださったので、楽しい時間を過ごすことができました。」、「計測器が病院に広まって、迅速診断ができるようになってほしいです。」、「これからも是非続けてください。」といった声が多数寄せられました。

都民の皆さんの研究所として、今後もこうした催し物を実施していきます。



平成27年2月20日

第11回 都医学研 国際シンポジウムを開催しました。

会場:東京都医学総合研究所 講堂

2月20日(金)、「バイオメディカル光イメージングの進歩」をテーマに第11回 都医学研国際シンポジウムを開催しました。主催者は、公益財団法人東京都医学総合研究所ヒト統合脳機能プロジェクトリーダーの星詳子副参事研究員です。星研究員は、神経機能イメージング法である近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)、脳磁図(MEG)を相補的に用いて、知覚情報処理、感情生成・制御、認知活動に関与する脳領域を同定し、それらの領域の機能連関を明らかにして感情の神経基盤モデルの構築を目指す研究を行っています。

今回のシンポジウムには、世界各地から多くの研究者の参加を得て、活発な討論、意見交換が行われました。当研究所の飛鳥井望副所長から「3つの研究所が統合し、その高い研究成果を世界に向け発信するため、年数回、国際シンポジウムを開催しています。第11回の今回、” バイオメディカル光イメージングの進歩”というテーマで、多くの世界的に高名な専門家に来ていただき開催できることに感謝します。シンポジウムが、参加する全ての人にとって意義深く、価値あるものになることを祈っています。」と挨拶がありました。

第1セッションは、星研究員、慶應義塾大学理工学部電子工学科の岡田英史教授を座長に「生体内における光伝播について」、第2セッションは、ワシントン大学のJoseph P. Culver准教授、ドイツの物理工学研究所のHeidrun Wabnit上席研究員を座長に「CW-拡散光トモグラフィについて」、第3セッションは、ロンドン大学のRobert Cooper助教、電気通信大学電気通信学部知能機械工学科の山田幸生教授を座長に、「時間領域拡散光トモグラフィについて」、第4セッションは、北海道大学電子科学研究所の西村吾朗助教、ベルリン脳卒中研究センターのJens Steinbrinkセンター長を座長に「革新的バイオフォトニクス技術について」と、国内外の研究者(14名)から、臨床応用を目指した光イメージング技術に関する新しい知見が報告され、活発な議論が展開されました。

当研究所では、研究者や医療従事者等を対象に、最先端の研究領域や社会的注目度の高いトピックをテーマとした国際シンポジウムを今後も毎年複数回開催していく予定です。

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