HOME広報活動刊行物 > January 2016 No.020

開催報告

第5回都医学研シンポジウム(平成27年11月12日実施)
「てんかん研究の最前線 原因遺伝子から最新治療まで」

主催:シナプス可塑性プロジェクトリーダー山形 要人

平成27年11月12日、一橋講堂において「第5回都医学研シンポジウム てんかん研究の最前線 原因遺伝子から最新治療まで」を開催しました。当日は曇り気味でしたが、てんかん診療に携わる医師や看護師、大学や製薬会社の研究者、学生、患者会の方々などが参加されました。

てんかんは約1%の有病率を持つ疾患にもかかわらず、原因が非常に多様であるため、なかなか研究が困難な面があります。しかし最近は、次世代シークエンサーによる原因遺伝子の発見、てんかんモデル動物の作製、さらにiPS細胞を用いたヒト疾患の再現など、その発症メカニズムが明らかになりつつあります。また、臨床面でも新しい診断技術の開発や新規抗てんかん薬の承認、てんかん外科治療の改良、さらに迷走神経刺激療法など、新しい診断・治療法も開発されてきています。

シンポジウムは、まず林雅晴分野長が小児の難治てんかんの原因究明のため様々な観点から研究を進め、治療に結びつきつつあること、次いで横浜市大・才津浩智先生が次世代シークエンサーを用いて難治てんかん原因遺伝子を次々に同定していることなどを発表しました。後半は、山形がモデル動物を用いて新しい発症メカニズムを研究していること、新宿神経クリニック・渡辺雅子先生が高齢者のてんかんは認知症と誤診されるケースも多いが、正しく診断されれば抗てんかん薬で治療可能なこと、NTT東日本関東病院・川合謙介先生が難治てんかんに対して頭蓋内電極の改良や術式の開発、外科適応にならない症例に対して迷走神経刺激療法などが始まっていることなどを講演されました。

講演者は各分野の第一人者であり、講演後は時間制限一杯まで質疑応答が続くなど、充実したシンポジウムとなりました。また、アンケートも好評で、ご参加下さった皆様にはてんかん研究がどこまで進んでおり、今後どのように臨床に生かされていくかを理解して頂く良い機会になったと思います。

 
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