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開催報告

第23回サイエンスカフェ in 上北沢(平成28年12月11日実施)
「旅するニューロン」

神経回路形成プロジェクト プロジェクトリーダー前田 信明

サイエンスカフェ

今回のサイエンスカフェは「旅するニューロン」という風変わりなテーマで開催しました。人の脳には千数百億個ものニューロンがぎっしり詰まっており、盛んにシグナルのやり取りをしています。脳内のニューロンは非常に個性豊かで、その形や役割は千差万別です。そして、このような様々なニューロンが互いに協力し合うことによって、脳の複雑な機能が発揮されます。それでは、このようなニューロンの個性は、どのようにして生まれてくるのでしょうか。その一つの答えが、ニューロンが旅をして色々な経験を重ねるということです。実際、ニューロンはその成長の過程で長い距離を移動し、多様な環境因子にさらされて、それぞれの特性を発揮するようになります。

当日は、まず以上のような事を、自作のアニメを交えながらご説明いたしました。その後、参加者の皆さんにマウスの脳組織切片標本を配布し、ニッスル染色法を用いてニューロンを染めて頂きました。真っ白で何も見えない切片を数分間染色液につけると、無数のニューロンが紫色に染まってきます。参加者の皆さんは、ご自分で染色したニューロンを顕微鏡を用いて熱心に観察されていました。また、クラゲの蛍光蛋白質GFPで光らせた移動期の大脳皮質ニューロンを、蛍光顕微鏡を用いて観察して頂きました。ただし、ニューロンの移動は非常にゆっくりしたもので、顕微鏡で観察しただけでは動いているように見えません。そこで、GFPで光らせた大脳皮質ニューロンの移動を、タイムラプス撮影によって記録した動画を映写し、ニューロンが実際に旅する様子を鑑賞して頂きました。

今回のサイエンスカフェは実験と観察が主体のものでした。簡単な実験でしたが大変好評で、中には「実験楽しい!」と叫ぶお子さんもいました。今回の経験を切っ掛けにして科学に興味をもったお子さんの中から、将来、大研究者が誕生するのではと期待しています。

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