HOME広報活動刊行物 > Oct 2017 No.027

開催報告

都医学研 第2回都民講座 (平成29年6月15日開催)
「遺伝病の発症と症状を予測する」

哺乳類遺伝プロジェクトリーダー吉川 欣亮

第2回都民講座(6/15開催)

本年度第2回目の都民講座を一橋講堂にて国立病院機構東京医療センター聴覚・平衡覚研究部部長である松永達雄先生をお迎えして開催いたしました。今回は「遺伝子診断」をテーマに松永先生と私でお話をさせて頂きました。

今回の講演は遺伝子診断の中でも「難聴の遺伝子診断」を主な話題とし、はじめに、松永先生が「遺伝子検査で遺伝性難聴の発症を予測して備える」と題してお話をされました。松永先生はこれまで難聴発症に関わる多くの遺伝子変異を同定されてこられた研究者でありますが、医師としても多くの患者さんの治療にあたられており、その治療に遺伝子検査が大きく役立っていることをお話しされました。すなわち、難聴の原因となる遺伝子変異が検査により明らかになると、今後の病状はどのように進行していくのか、重症化するのか、どのような治療薬を選択すべきか、補聴器の使用、人工内耳埋め込み術の必要性など、今後の治療法を決めるのに役立つとのことです。また、難聴の原因が明らかになり、今後の症状が予測できれば、患者・家族に治療の希望を持ってもらえるとのお話もありました。加えて、現在進められている難聴遺伝子変異のデータベースや、iPS細胞による再生医療の現状についてもご紹介頂きました。続いて、私の方から「モデル動物が遺伝病発症と病態を予測する」と題し、モデル動物がどのように作られ、どのように患者さんの病態予測にどのように役立っているのかについてお話させて頂き、特にゲノム編集技術によって難聴患者さんの遺伝子変異を再現(模倣)したマウスが、患者さんの病態を理解するのに重要な役割をもつことを示す実験データを紹介いたしました。

講演後は、来場の皆さまから多数のご質問を頂き、充実したものとなりました。また、今回の都民講座の講演内容は、2紙の新聞紙上でもご紹介頂き、大変感謝しております。

第2回都民講座(6/15開催)
ページの先頭へ