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開催報告

第5回都医学研都民講座 (平成29年10月26日実施)

 「認知症に向き合うために」

認知症プロジェクトリーダー長谷川 成人

森 啓 先生の写真

秋晴れの10月26日(木)、平成29年度第5回都民講座が一橋講堂において開催されました。今回は、大阪市立大学 医学部 臨床神経科学講座の特任教授で、新潟の医療法人 田宮病院の顧問をされている、森 啓 先生を講師にお迎えし、「認知症に向き合うために」というタイトルでご講演頂きました。森先生はまず最初に英国のサッチャー元首相と米国のレーガン元大統領を例として、どんな偉い人でもアルツハイマー病になる、地位や職業に関係ない病気であること、また残念ながらこの病気には特効薬が無いという現状をお話しされました。認知症の病状は徐々に進行し、介護するご家族は様々な負担を強いられます。中核症状である認知機能の障害もそうですが、特に「BOSD(行動・心理症状)」と呼ばれる症状は、周囲の人との関わりのなかで起きてくる行動です。易怒性、暴言、脱抑制、不眠、妄想、徘徊、弄便、失禁など様々あり、ご家族や介護者にとっては本当に大きな負担となります。森先生は、まずこのような病気の知識を正確に知ることが、患者ご本人にも、看病で困っているご家族や介護者にとって重要であることを話されました。そして、この病気では、発症してから人生終末を迎えるまで、10 年前後の苦しい看病が続きます。しかし、逆にそれ以上の時間はないので、大切に過ごすようしたいとのこと。「一番苦しい時が一番良い時かもしれない」という森先生のご家族や介護者を思う、優しい気持ちが伝わってくる素晴らしいご講演でした。聴講者のみなさんは、ユーモアと身振り手振りを交えたご講演に熱心に聴き入っていました。

講演後の質問では、自分や家族が認知症かもしれないがどうしたらよいか、薬はいつまで飲むべきか、患者に対してどのように対応したらよいかなどの質問がありましたが、一つ一つの質問に対して丁寧にお答えして頂きました。ご来場になられた皆様も大変満足されたご様子でした。

都民講座会場写真
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