HOME広報活動刊行物 > April 2018 No.029

開催報告

第7回都医学研シンポジウム(平成29年11月17日開催)
「認知症の診断、治療法開発の最前線」

認知症プロジェクトリーダー長谷川 成人

長谷川研究員・野中研究員

平成29年11月17日、御茶ノ水ソラシティにおいて、第7回都医学研シンポジウム「認知症の診断、治療法開発の最前線」を開催しました。当日は天候にも恵まれ、認知症の研究、治療、創薬に携わる大学、公的機関、さらには製薬会社の研究者、学生、また患者会の方々など、大勢の皆様が参加されました。

東京都の高齢者人口は300万人を突破し、4人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢化社会を迎えています。認知症は高齢化が進むほど増加する疾患であり、今後さらに深刻な問題となることが予想されます。認知症の症状を改善する薬はいくつか開発されていますが、病気の進行を遅らせるような根本治療薬、病態修飾薬はまだありません。残念ながら最近の臨床研究もその多くが失敗に終わっている状況です。 

このような中、近年、病気の進行に深く関わる異常タンパク質病変が広がる新しいメカニズムが提唱され、また異常タンパク質を可視化するイメージングプローブも開発され、診断技術については大きく進歩しつつあります。そこで今回のシンポジウムでは、認知症研究の最前線でご活躍の研究者に最新の研究成果を紹介して頂きながら、薬剤開発の現状と展望について議論して頂きました。

まず、都医学研・野中が細胞内異常タンパク質の細胞、動物モデルを紹介し、次いで理研・斉藤貴志先生が新規アルツハイマー病モデルマウス、東大・富田泰輔先生が認知症治療薬開発の現状と未来についてお話しされました。後半は、阪大・永井義隆先生が分子シャペロンを利用した神経疾患治療、放医研・樋口真人先生がイメージングによる認知症診断の進歩と治療、大阪市大・富山貴美先生がAβ、タウを標的とした治療薬開発について講演されました。講演者は各分野の第一人者であり、講演後に行った総合討論でも、時間制限一杯まで活発な質疑応答がなされ、充実したシンポジウムとなりました。

アンケートも好評で、ご参加下さった皆様には認知症の研究の現状と今後について理解して頂く良い機会になったものと思います。

会場の様子
ページの先頭へ