HOME広報活動刊行物 > April 2018 No.029

開催報告

第26回サイエンスカフェ in 上北沢(平成29年12月17日開催)
「遺伝子とDNA -遺伝の実体にせまる-」

再生医療プロジェクトリーダー宮岡 佑一郎

遺伝子とDNAをテーマにサイエンスカフェを開催しました。親子は顔や体つきなどが似ていることが多く、「遺伝」はとても身近です。これは、私たちの特徴を決める「遺伝子」が、世代を超えて受け継がれている証です。遺伝を担う物質である「DNA」という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどういう物質で、どのように遺伝子としてはたらいているかを知っている人は、あまり多くはないかもしれません。そこで今回は参加者のみなさんに、バナナからDNAを抽出して実際にDNAを目で見てもらい、さらにヒト培養細胞の核の染色により細胞のどこにDNAがあるのかを観察してもらいました。また、講演では遺伝子とは何か、遺伝物質としてのDNAの発見、二重らせん構造の特徴、DNA複製、遺伝暗号についてお話ししました。私の家族も全員参加して、遺伝を身を以てお示ししました。

今回小学生のお子さんの参加者が多く、実験操作の一つ一つに歓声が上がるなど、みなさんがとても楽しそうに実験をしていたのが印象的でした。ピペットの操作や遠心分離など、私にとっては日常に溶け込んでいるようなことにも興味津々な子供達の姿を見て、私も研究を始めた頃のような、新鮮な気持ちを思い出すことができました。参加者の全員がきれいにDNAを抽出することができ、細胞の核の染色と観察にも成功 しました。素晴らしかったです。

特に小さいお子さんには、講義の内容は少し難しい部分もあったかもしれませんが、それでもみなさん集中してよく聞いてくれました。子供達から鋭い質問も出て、感銘を受けました。たとえ話した内容の全てを理解できなかったとしても、遺伝やDNA、もっと広く言えば科学に、みなさんが興味を持つきっかけになってくれればいいと願っています。講演でお話ししたことは、分子生物学という、分子のレベルで生命現象を理解しようという学問の入り口です。興味を持ってくれた子の中から将来、この分野の研究者が生まれることを期待したいです。

サイエンスカフェ
ページの先頭へ