都医学研の新型コロナウイルスに関する研究

  • HOME
  • 都医学研の新型コロナウイルスに関する研究

新型コロナ対策特別チームの取組に関する総括報告書(2023年5月2日)

新型コロナウィルス予防ワクチンの開発

ワクシニアウイルスベクターを用いたワクチン開発、動物実験による効果を確認しました(2021年1月7日)

感染制御プロジェクトの小原道法特任研究員及び国立感染症研究所の石井孝司品質保証・管理部長との共同研究でワクシニアウイルスベクターを用いた新型コロナウイルスワクチンを開発し、動物実験による効果を確認しました。TOPICS


新型コロナウイルス等予防ワクチン開発研究の推進(2020年5月15日)

2019年12月、中華人民共和国で発生した新型のコロナウイルスについては、現在、多くの研究機関、大学や製薬会社等がワクチン開発に着手していますが、将来的に新たなコロナウイルスが発生した場合には防御効果が期待できない恐れがあります。

ワクチン研究開発の推進

当研究所の感染制御プロジェクトでは、新型インフルエンザ及びデング熱に関するワクチン開発研究を行っており、新型コロナウイルスにも応用可能な研究技術を有しています。

国立感染症研究所等との共同研究により、これまでに確立したワクチン開発技術を用いて、現在流行している新型コロナウイルスだけではなく、今後新たなコロナウイルスが発生した場合にも即座に対応可能なワクチンの開発を行い、臨床試験につなげることを目指します。

研究の概要

①ワクシニアワクチンの作製、効果の検証
これまでのSARS、新型インフルエンザやデング熱のワクチン開発において効果が実証されている、天然痘ワクチンの有効成分であるワクシニアウイルスを用いることで強力に免疫を獲得できるばかりでなく、免疫を長期にわたり維持することができるため、この技術を応用した新型コロナウイルスワクチンの作製、効果の検証を行います。
②核酸ワクチン(mRNAワクチンやDNAワクチン)の作製、効果の検証
近年、免疫を誘導する技術で核酸ワクチンというものが注目されています。これは、病原体を構成する成分の設計図であるmRNAやDNAをワクチンにしたもので、投与するとmRNAやDNAの指示に従って病原体の一部であるタンパク質を合成し、免疫が誘導される技術です。この技術を用いた核酸ワクチン(mRNAワクチンやDNAワクチン)の作製、効果の検証を行います

都医学研のワクチン開発の特徴

冒頭で、当研究所ではワクシニアウイルスを使って新型インフルエンザやデング熱のワクチン開発を行ったノウハウがあることをお伝えしました。皆さんもご存じのように季節性インフルエンザウイルスもH1亜型やH3亜型など、変異株が発生することが知られています。また、デング熱ウイルスにも4つの亜型があり、一度感染した方が、別の亜型のデング熱ウイルスに感染すると重症化することが知られています。都医学研では、ワクシニアウイルスを用いて、これらの亜型全てに効果を発揮するワクチン開発の基礎研究を行い、効果を検証した実績があります。

一方、コロナウイルスについてみると、ヒトに感染するコロナウイルス株は6種類あり、そのうち4種類は一般的ないわゆる風邪の原因と知られています。残りの2種類は2002~2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)と2012年から中東で流行しているMERS(中東呼吸器症候群)で、今回の新型コロナウイルスはヒトに感染するコロナウイルスとして7種類目となります。こうしてみるとおおよそ10年サイクルで深刻な呼吸器系疾患を引き起こす新たなコロナウイルスの亜型が出現しています。

当研究所が開発を進めるワクシニアウイルスを用いた新型コロナウイルスワクチンは、現在流行している新型コロナウイルスのみならず、将来発生するであろう人体に深刻な影響を及ぼす、新たなコロナウイルスへの対応も視野に入れたものとなっています。