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2011年12月14日

--米国精神医学雑誌「Mol Psychiatry」の12月号巻頭ImageとLetter to the Editorに林義剛研究生・楯林義孝副参事研究員(うつ病研究室室長)の記事が掲載されました。--


掲載内容
 大うつ病は、抑うつ気分、興味・喜びの消失、食欲減退、睡眠障害、無価値観、決断困難、希死念慮、自殺企図などを症状とする疾患です。日本の生涯罹患率は7%と報告されています。現代社会において1998年に自殺者が3万人を超え、2010年度の自殺者も31,690人(警察庁ホームページより)と増加したまま戻っていません。自殺者の約半数はうつ病を伴っているという報告もあり、大うつ病の病態解明は健全な社会を目指す上で重要な事項であると言えます。
 脳画像研究(MRIなど)において、大うつ病患者の脳内では、作業記憶に関与する背外側前頭前野、情動・意思決定に関与する眼窩前頭前野、恐れ・快/不快に関与する扁桃体、記憶・ストレスに関与する海馬などで脳の委縮や脳血流の低下などが報告されています。しかし、実際脳内でどのような異常が起こっているのかということについては、病理解析の技術的な問題等がありまだよくわかっていません。本研究では、従来法の欠点を克服すべく新しい神経病理学的脳細胞定量法の確立を行いました。さらに、その方法を用いて、大うつ病患者死後脳前頭極および下方側頭葉灰白質の神経病理学的異常について調査しました。また、用いた死後脳は大うつ病患者とそのご家族にインフォームドコンセントを経て、死後に提供して頂いた脳組織をスタンレー脳バンクより提供を受けたものを使用しています。
 解析の結果、大うつ病下方側頭葉では脳細胞数に異常は見られなかったものの、前頭極においてオリゴデンドロサイトの細胞数減少が見られました。オリゴデンドロサイトは神経軸索にミエリンを形成する脳細胞の一種です。また、前頭極は背外側前頭前野や眼窩前頭前野の機能をサポートする脳部位と考えられています。このことから、前頭極における脳部位特異的オリゴデンドロサイトの異常が大うつ病の病態と関係している可能性があると考えています。

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