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10.成体ラット脳からの神経前駆細胞の新しい分離培養法
概要
 中枢神経領域における神経幹細胞の動態はまだ完全に明らかになっていないものの、さまざまな精神・神経系疾患に関与している証拠が集まりつつある。 よって、今後、成体神経幹細胞の研究は、再生医療ばかリでなく、精神・神経系疾患の病態機序解明から新しい治療法の開発まで、最先端医療をさまざまな分野で担って行く可能性が高い。 そのような研究を進めて行く上で、成体脳より神経前駆細胞を分離培養する方法の確立は、その応用性を考えた時、計り知れない影響がある。
 我々は、成体ラット脳から2 種類の成体神経前駆細胞(神経前駆細胞及びNG2 陽性オリゴデンドロサイト前駆細胞)を効率よく分離培養する方法を世界で初めて確立した。 それらの培養細胞を用いて、幹細胞の脳内での基礎動態研究から、疾患での役割の研究、またさまざまな薬剤候補物質の効果を直接的に検討しスクリーニングする研究などが可能となっている。 また、これらの細胞はラット胎児や胚性幹細胞より由来した神経幹細胞とは性質が異なり、実際の成体の条件により近いと考えられる。 すなわち、それらの細胞に効果のある物質は薬剤輸送に問題がなければ成体内でも同様の効果が期待できる。 また、動物実験では不可能な、比較的大規模なスクリーニングが可能となり薬剤の絞り込みも可能と考えられる。
ポイント
  • 成体ラット脳から従来の神経間細胞に加え、NG2 陽性神経前駆細胞を効率的に分離培養する方法を世界で初めて確立した
  • 成体ラット脳から分離培養した神経前駆細胞を用いて薬剤のスクリーニングを行う事が可能となる。
  • 薬剤の作用機序を細胞レベルで明らかにする事が出来る。
  • さまざまな精神・神経系疾患の病態解明や治療法の開発につながる可能性がある。
海馬からの神経前駆細胞の分離例
    事業化・製品化が考えられる用途
  • 我々の培養法にさまざまなアッセイ法を組み合わせることで、薬剤のスクリーニングに役立つものと期待される。
  • NG2 陽性オリゴデンドロサイト前駆細胞はある種の脳腫瘍に関係することがわかって来ており、 その病態機序研究から抗がん剤のスクリーニングなどにも活用できるものと期待される

    求めたい連携の種類・内容
  • うつ病など精神疾患治療に関する創薬関連企業との共同研究、委託研究
  • 新規薬剤のためのスクリーニング法の共同開発

    関連特許等(発明の名称)
  • 特願 2007-174147 「GABA 又はグリシン伝達系を標的にした新規薬剤スクリーニング方法」

    関連する主な論文・著書
  • Tatebayashi Y, et al. (1999) Dynamic regulation of expression and phosphorylation of tau by fibroblast growth factor-2 in neural progenitor cells from adult rat hippocampus. J Neurosci. 19(13):5245-5254
  • Tatebayashi Y, et al. (2003) The dentate gyrus neurogenesis: a therapeutic target for Alzheimer's disease. Acta Neuropathol (Berl). 105(3):225-32.
  • 楯林義孝(2003)アルツハイマー型痴呆と老年期うつ病-成人期海馬歯状回の神経新生現象を接点として 精神神経学雑誌 105(4):398-404

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