研究内容の紹介

睡眠研究の課題3

睡眠・覚醒の調節機構やその役割はまだ謎のままです。睡眠制御系である睡眠中枢や覚醒中枢が存在すること、睡眠実行系である大脳皮質では、覚醒中よく使われた部分ほど深睡眠が生じること、が判明しています。しかし睡眠・覚醒が維持され、適切に切り替わる機序はよくわかっていません。睡眠調節には、光や体内リズム、体温、免疫、ホルモン、自律神経等の因子が関わります。

エネルギー代謝もそのひとつです。満腹になると眠くなり、極端なダイエットをすると不眠となります。睡眠にもエネルギーが必要です。しかし睡眠・覚醒に伴う脳内のエネルギーの変化は未解明です。

研究紹介3 睡眠覚醒に伴う神経細胞内ATP濃度変動 動物睡眠研究

<研究の背景>

これまで脳・神経活動は、脳波などの電気生理指標あるいは神経活動を血流・糖分解によって間接的にとらえるPETやfMRIといった脳画像指標を用いて評価されてきました。我々は神経細胞内のATP濃度ファイバー・フォトメトリ法という新技術で測定する実験系を確立し、神経細胞自体のエネルギー状態を調べることができるようにしました。

この方法は時間分解能が高く、睡眠・覚醒状態ごとに血流(エネルギー供給)神経活動(エネルギー消費)と、大脳皮質や睡眠・覚醒中枢のATP濃度変化の時間的関係も検討できる特徴があります。

<研究の成果>

ファイバーフォトメトリー法によるin vivo神経細胞内ATP動態計測に成功しました。

大脳皮質にある興奮性の神経細胞内ATP濃度は “動物の覚醒時に高く維持され、ノンレム睡眠時に低下、レム睡眠時には特に大きく低下することを発見しました。

神経細胞内ATP濃度



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