胃を守るG-カルパインはカルパイン8と9の合体
― 粘膜保護に働く2種類のタンパク質分解酵素の同定 ―
~胃潰瘍などの出血性胃疾患の治療・予防に向けた基盤となる発見~
カルパインプロジェクトは、秦勝志主席研究員を筆頭として、新潟大学脳研究所、国立国際医療センター研究所 消化器免疫研究室、東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命科学専攻、科学技術振興機構との共同研究において、胃潰瘍などのストレス性の胃出血疾患に、胃腸に発現するカルパイン注1)というタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)注2)の機能不全が関与することを世界で初めて明らかにしました。この発見は、ピロリ菌や抗炎症剤によって出血性胃疾患が世界的に急増する中、その発症機序や治療・予防法への重要な手がかりを与えるものです。
この研究成果は、7月29日(米国西部時間)発行の米国科学雑誌「PLoS Genetics(プロス・ジェネティクス)」オンライン版で発表されました。
なお、この研究は、東京都医学研究機構プロジェクト研究費、独立行政法人科学技術振興機構CREST、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究・基盤研究(B)、武田科学振興財団特定研究助成金を活用して行われたものです。
また、下記のメディアで紹介して頂きました:
毎日新聞7月30日夕刊1面、日経新聞7月30日夕刊16面、朝日新聞8月10日朝刊24面、読売新聞8月13日夕刊2面
毎日jpウェッブサイト、日経Web刊ウェッブサイト、YOMIURI ONLINEウェッブサイト
テレビ朝日報道ステーション7月30日20時15分頃~
月刊「福祉保健」8月号5頁、福祉保健局ミニ通信295号8月5日1頁
PLoS Genetics Featured Article (July 29-Aug 11) [論文自体はこちら]
SciBX (Science-Business eXchange by Nature Publishing Group) [pdfはこちら]
Hata S, Abe M, Suzuki H, Kitamura F, Toyama-Sorimachi N, Abe K, Sakimura K, Sorimachi H. (2010) Calpain 8/nCL-2 and Calpain 9/nCL-4 Constitute an Active Protease Complex, G-Calpain, Involved in Gastric Mucosal Defense.(カルパイン8と9(nCL-2とnCL-4とも呼ぶ)は活性複合体G-カルパインを形成し、胃粘膜防御に機能する) PLoS Genet., 6, e1001040.