正井リーダーからのご挨拶 + メンバー

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1 ご挨拶

東京都医学総合研究所 ゲノム医科学研究分野 ゲノム動態プロジェクトのホームページにようこそ。当研究室は2001年に、当時文京区本駒込にありました東京都臨床医学総合研究所(通称 臨床研) 細胞生物学研究部 において、それまで、同研究部を率いてこられた、矢原一郎先生、瀬原淳子先生の後を引き継ぎ、開始しました。当研究室は2004年にプロジェクト制への移行に伴い、ゲノム動態プロジェクトと名前を変えました。

臨床研は2009年に、現在の地 上北沢に移動しました。当時は現在N棟と呼ばれる一期棟があるのみでしたが、2011年にはS棟が完成して、神経医学総合研究所、精神医学総合研究所も当地に移転し、東京都医学総合研究所 と名前を変えました。2013年には公益財団法人となり現在に至っています。

当プロジェクトでは細胞増殖、特にDNA複製に関わる諸問題の研究を行っています。昨年2013年は、DNAの二重らせん構造の解明、そして半保存的DNA複製機構の提唱から60年、レプリコン仮説の提唱から50年の節目の年でした。DNA複製という生命現象の最も根幹にかかわる現象は、DNAの構造が解明されてから最も古典的な問題のひとつであり、皆さんはもうすべて解決されているだろう とお考えになるかもしれません。しかし、実際は、細菌からヒトにいたる多様なゲノムの複製のメカニズムの統一像は明らかになっていません。実際のところ、統一像があるのか、あるいは多様なゲノムはきわめて多様なメカニズムで複製開始し、制御されるのかについても議論の分かれるところでしょう。さらに、複製の異常とがんや種々の疾患の原因となるいわゆる「遺伝的不安定性」が密接に関連していることが最近の研究から明らかにされています。複製の異常は、M期進行の異常をもたらし、染色体不安定性を誘導する事が強く示唆されていますが その詳細な機構は不明です。さらに、30億塩基対、2mの長さのゲノムが、6-8時間を要するS期の間にどのように秩序正しく、過不足なく、また細胞外の環境に適応しながら複製されるかは、trivialな問題ではなく、核内の染色体の高次構造やダイナミクスと密接に関連した複雑なプロセスで制御されていることが最近ようやく明らかになってきました。

このような状況の中、私達は大腸菌、酵母、動物培養細胞、ES細胞、マウスモデルシステムなどを用いて、DNA複製の統一的メカニズムの解明と、その緻密な制御がゲノムの安定な維持、継承を可能にするメカニズムの解明を目指して、研究員が日々研究を行っています。得られる研究成果は、究極的に、私達を苦しめている種々の疾患に対する新規治療法の開発につながるものです。私達は基礎的な研究成果をつみあげ、最終的に社会および人間の幸福に貢献することを究極の目的としています。

 

2 略歴

1981年 東京大学理学部 生物化学科卒業

1983年 東京大学大学院理学系研究科修士課程生物化学専攻修了

1987年 理学博士(生物化学)(東京大学) 取得

1981-86年 DNAX分子細胞生物学研究所(アメリカ合衆国、カリフォルニア州)にて大学院生.

1987-90年 DNAX分子細胞生物学研究所 ポストドクトラルフェロー(大腸菌のDNA複製開始機構、プライモソームの形成機構、プライモソームタンパク質についての研究に従事)

1990-95年 東京大学医科学研究所 助手(大腸菌の組み換え依存性DNA複製機構、プライマーRNA合成機構の多様性、酵母のCdc7キナーゼに関する研究に従事)

1995-2000年 東京大学医科学研究所 助教授(酵母および動物細胞の染色体複製開始因子、制御因子の研究に従事)

1998-99年 京都大学ウィルス研究所 客員助教授

2000年 東京都臨床医学総合研究所 副参事研究員(染色体複製制御機構、ゲノムの安定性維持機構の研究に従事)

2003年 東京都立保健科学大学院保健科学研究科 客員教授

2004年 東京大学 大学院(新領域創成科学研究科) 客員教授

2005年 東京理科大学 理工学部 客員教授

2006年 東京都臨床医学総合研究所 参事研究員

2006年 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 生命情報科学教育部 客員教授

2007年 首都大学東京 理学部 客員教授

2009年 東京都医学総合研究所 参事研究員

2011年 東京都医学総合研究所 分野長

2012年 東京都医学総合研究所 センター長

2015年 東京都医学総合研究所 副所長

2018年 東京都医学総合研究所 所長


雑誌編集など

Editor, Biochemical and Biophysical Research Communications (2013~)
Editorial Board Member, Journal of Biological Chemistry (2009~2014)
Editorial Board Member, Journal of Biochemistry (Tokyo) (1998~2001)
Associate Editor, Journal of Biochemistry (Tokyo) (2006~)
Associate Editor, Genes to Cells (2009~)
Editor, Frontiers in Bioscience (1995-present)
Editorial Board Member, World Journal of Biological Chemistry (2009~)
Faculty1000 member (2011~)
Editorial Board Member, World Journal of Medical Genetics (2012~)

受賞歴

2017年「ゲノムDNA複製を制御するメカニズムの研究」に関する成果により、平成29年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞

2012年10月 A-IMBN (Asian International Molecular Biology Network)
Arthur Kornberg Memorial Award受賞

2006年度 東京都職員表彰(研究、発明・発見分野)

 

3 これまでの研究

正井リーダーは、過去39年間以上にわたり、DNA複製の研究を行なって来た。初期には主に、大腸菌の染色体複製機構の研究を行なった。その間、

1) 薬剤耐性プラスミドR1の複製開始および制御機構

2) プライマーRNA合成の多様性

3) プライモソーム構成因子の構造と機能

などを明らかにした。これらの研究は、複製制御の原則である、一度きりの複製開始制御の分子基盤の解明に貢献すると共に、複製開始に必須なプライマーRNA合成の多様な、新規分子機構の発見にいたった。1990年に帰国してからは、大腸菌の染色体複製の2番目の様式である、DNAに損傷が与えられたときに一時的に誘導される組換え酵素依存性のDNA複製に、PriAという複製タンパク質が必須であることを証明した。これは「組換えと複製の共役による停止した複製フォークのprocessingおよび回復」という、真核生物にまで保存された分子メカニズム発見の端緒となる重要なものである。さらに、PriAタンパク質による停止複製フォーク認識の分子機構を解明した。これは、生物種全般に普遍的な複製フォーク停止に対する細胞応答機構に重要な示唆を与えた。

DNAX研究所から東大医科研に帰国後は、より複雑な真核細胞におけるDNA複製制御機構の研究にも着手し、複製開始のかぎを握るCdc7キナーゼを分裂酵母、動物細胞から世界に先駆けて同定し、その機能解析、さらに、複製複合体の構成因子の生化学的、遺伝学的、発生工学的解析を行なってきた。その間の研究業績の一部を下記に記載した。

1) Cdc7の構造、キナーゼ活性化機構の解明

2) 動物細胞の増殖、個体発生におけるCdc7キナーゼの機能解明

3) Cdc7の重要な基質、MCMヘリカーゼの同定と、そのリン酸化による制御機構の解明

4) 複製因子の中心因子であるMCMヘリカーゼの分子解剖、特異的な基質構造および、Cdt1複製因子による活性化の発見

5) Cdc7の減数分裂期組換えにおける新規機能の発見

6) Cdc7による染色体ダイナミクス制御、特に複製フォーク障害応答における機能の発見

7) 未分化状態の胚性幹細胞の細胞周期制御を特徴づける4個の制御因子の同定とES細胞の複製周期制御機構と未分化能維持機構の関連の解明

8) がん細胞と、分化正常細胞における複製制御因子の機能解析に基づく、複製フォーク因子を標的とした新規制がん技術の開発

9) 分裂酵母および動物細胞の染色体複製起点およびその活性化タイミング制御機構の解明

10) DnaA-oriCに依存しない大腸菌染色体複製のメカニズムとその生物学的意義(G4-RNA/DNA hybirdに依存するDNA複製開始システムの可能性の探索;複製開始の普遍的メカニズムのモデル)

 

4 メンバー (2020年3月現在)

プロジェクトリーダー:正井 久雄

H_Masai

現在のメンバー
研究員 松本 清治 You Zhiying 吉沢 直子
森山 賢治 田中 卓 加納 豊
井口 智弘
外部支援
研究員
伊藤 さゆり 楊 其駿
研修生 堀かりん
(博士2年)
小林 俊介
(博士1年)
鷺 朋子
(博士1年)
矢吹 素子
(修士2年)
Hao-Wen Hsiao
(修士1年)
高沢 佳芳
(学部4年)
冨樫 育子
(学部4年)
宮本 光
(学部3年)
Wai Kuen FU (Peter)
(学部3年)
リサーチアソシエイト 覺正 直子 深津 理乃
秘書 皆川 明子
アルバイト 張 若谷 菅原 杏子
協力研究員 前澤 創 平野 真希子 山田 正之
客員研究員 宮武 昌一郎 加藤 宏幸 山越 葉子

5 近況

  2015年

 

2015年1月16日

津田ホールにて平成26年度 第7回 都医学研 都民講座「ゲノムの増えるしくみとその起源・進化:生命の起源から地球外可能性まで 」が開催。正井と東京薬大の山岸明彦教授が講演。

2015年2月8日
横浜情報文化センター 情文ホール にて、文部科学省新学術研究領域「ゲノムを支える非コードDNA 領域の機能」 主催 高校生向け公開講座「ゲノムの調べ」が開催される。2015年2月12日
銀座ミレジムにて旧友と再会。写真。2015年2月22日
東京マラソン開催。当研究室の新本美智枝さんが参加。3時間10分で完走。山崎君と応援にいきました。写真はこちら1。 2 3
(芝崎太先生も初マラソン 好記録おめでとうございます!)2015年2月25-26日
第一回医学研リトリート かずさアカデミアホールで開催されました。2015年3月26日講演
医療のパラダイムシフト~ 情報革命とバイオメディカル革命のシステム融合 ~ (かながわサイエンスパーク 3 階KSP ホール)2015年4月10日 Genes to Cells 編集委員会

2015年4月27日 及び 5月11日 東京理科大学 生物科学特別講義III(運河)

2015年5月14日 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻
発展講義Ⅳ(細胞高次機能の最先端)
「DNA複製制御の多様性、可塑性と進化そして疾患との関連」

2015年5月18~19日 BBRC Bangalore meeting (Bangalore, India)
May 18th (Monday) BBRC symposium at the National Centre for Biological Science (Title of the lecture: Biological roles of G-quadruplex structures )
May 19th (Tuesday) BBRC Board Meeting at The Taj West End

2015年5月13日、6月3,10日 東京大学 理学部 生物化学科「細胞分子生物学1」講義 (全3回)

2015年6月4~5日 大腸菌研究会(琵琶湖グランドホテル・京近江)

2015年6月21~26日  8th international fission yeast meeting in Kobe 情報はこちら。

2015年6月29~30日 韓国3大学ー医学研国際シンポジウム(東京都医学研)

2015年7月1~2日 CBSM2015 グラントエクシブ那須白河

2015年8月5~8日 新学術領域「非コードDNA」第9回領域会議(兼 国際会議)(淡路夢舞台)

 

2015年9月1~5日  Cold Spring Harbor Meeting “EUKARYOTIC DNA REPLICATION AND GENOME MAINTENANCE”。情報はこちら。

 

2015年9月11日(金)及び 9月18日(金) 3限~4限「生命科学特別講義」(学部との共通科目;南大沢)

 

2015年12月1~4日 BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会)
神戸ポートアイランド

 

下記のセッションにおいて当研究室の発表があります。

 

セッション番号:『1W10』『ヘリカルリピートタンパク質の構造特性と細胞内機能』
日時:2015年12月1日(火) 9:00-11:30
会場:第10会場(神戸ポートピアホテル 南館 B1F トパーズ)
席数:約300席
発表予定者:森山 賢治

 

セッション番号:『1W2-p』『染色体の機能・構築原理』
日時:2015年12月1日(火) 14:00-16:30
会場:第2会場(神戸ポートピアホテル 本館 B1F 偕楽1)
席数:約340席
発表予定者:正井 久雄

 

セッション番号:『2W13』『非B型DNAの構造・生物学的意義とその生体制御への応用』
Structures and biological functions of non-B DNA and its application for manipulation of biological systems
ワークショップオーガナイザー 正井久雄 三好大輔
日時:2015年12月2日(水) 9:00-11:30
会場:第13会場(神戸ポートピアホテル 南館 B1F ルビー)
席数:約150席
発表予定者:加納 豊

 

セッション番号:『3W12』『DNA複製開始を制御する高次複合体ダイナミクス:多様性と普遍性』
ワークショップオーガナイザー 升方 久夫 片山勉
日時:2015年12月3日(木) 9:00-11:30
会場:第12会場(神戸ポートピアホテル 南館 B1F ダイヤモンド)
席数:約220席
発表予定者:山崎 聡志

 

 2014年

 

2014年4月13-14日 新学術領域「ゲノム適応」班会議 (東京)

2014年4月19日 科学技術週間特別行事 夢祭エンス 医学研展示(日本科学未来館、江東区青梅)

2014年4月20日 第24回かすみがうらマラソン 兼 国際盲人マラソンかすみがうら大会 に参加(目標タイム4時間59分59秒–実際は生きて帰ること)。結果はこちら。

2014年5月16日 北京大学にて講演 (15-19日まで北京大学教授Daochun Kong博士を訪問)。こちらへ。

2014年5月21日 東京大学教養学部全学自由研究ゼミナール「生命科学の現在・パート16」講義「私の研究歴:太平洋を初めて渡って33年ーDNA複製の原理を探求して」こちらへ。

2014年6月5-6日 「第11回 21世紀大腸菌研究会」(岩手県盛岡市 つなぎ温泉「ホテル大観」)に参加(世話人)

2014年6月19-22日 延世大学・医学研 Joint Symposium (安東回口村(陶山書院があった村))

2014年7月14-16日 新学術領域「ゲノムを支える非コードDNA領域の機能」班会議(湯河原温泉ホテルあかね 〒259-0304 神奈川県足柄下郡湯河原町宮下705)正井発表は16日 11:25-11:50

2014年8月29-31日 九州大学 夏の学生研究発表合宿

2014年9月15-21日 Marco Foiani(Italy, Milan)教授の招聘により IFOM Foundation – F.I.R.C. Institute of Molecular Oncology Foundationで講演(演題:Regulation of DNA replication program in fission yeast and human cells)、及びSardinia島で開催される研究室ワークショップに参加。

2014年9月25-26日 大阪大学蛋白質研究所「染色体伝承の分子背景:複製から染色体分離まで」講演

2014年10月15-18日 第87回日本生化学会大会

片山 勉先生(九州大学)とともに、シンポジウム「ゲノムを支えるDNAヘリカーゼの動態を探求する新たな研究展開」をcoorgamnize (セッション番号:3S12a; 開催日:10月17日(金)9:00-11:30; 会場:第12会場[Room B-1])

KAISTのYeon-Soo Seo教授をこのシンポジウムには招聘しております。

2014年11月17-21日 9th 3R Symposium (Gotemba, Shizuoka)

Francesca Pisani教授(Istituto di Biochimica delle Proteine)及びFrancesca Carlomagno教授 (Universita’ degli Studi di Napoli Federico II)が、3Rに参加されます。3Rの前後に医学研でセミナーをしていただく予定です。

2014年11月25-27日 第37回日本分子生物学会年会 (パシフィコ横浜)

升方 久夫先生 (大阪大学)とともにワークショップ「ゲノムDNA複製制御のメカニズム:生物種を超えた統一像と多様性 (Conserved mechanisms and diversity of genome DNA replication: from bacteria to human)」をオーガナイズ。

セッション番号:『3W5』
日時:2014年11月27日(木) 13:15-15:45
会場:第5会場(パシフィコ横浜会議センター 3階 304)

2014年11月30-12月2日 2014 A-IMBN Governing Council MeetingおよびAnnual Conference (Henry Sy Auditorium, St. Luke’s Medical Center Global City, Manila, Philippines)に参加する。

2014年12月15日-12月17日

広島県宮島口にて第32回染色体ワークショップ・第13回核ダイナミクス研究会が合同開催。