脳代謝制御グループ
フロンティア研究室

研究内容 research

私達は、脳の健康状態を代謝の観点から評価し、その変化が脳の生理機能、病態時の表現型に与える影響の解明に挑戦しています(図①)。

例えば、最近、私達は思春期の砂糖の過剰摂取により精神疾患様症状が惹起されることを、モデルマウスを用いて実証しました(Science Advances, doi: 10.1126/sciadv.abl6077)。そのモデルマウスでは、血管から脳内へのグルコースの輸送が顕著に障害されていました。またアルツハイマー病が『第3の糖尿病』と呼ばれることなどからも、代謝経路の破綻がある種の精神・神経疾患の発症や重篤化に寄与している可能性は十分予想されます。 本研究の遂行により、細胞内、脳内代謝改善からの創薬が見込まれ、現行の神経伝達物質のチャネルやトやトランスポーターの機能阻害や促進に頼った脳疾患の治療法に変革をもたらすことが期待されます。

図① 研究内容の概念図
図① 研究内容の概念図: 代謝関連因子の遺伝子改変マウスの作成と解析(cKOマウス作製、行動解析)、細胞内外の代謝産物動態解析(ファイバフォトメトリ+FRET probe、バイオセンサー)等を駆使して高次脳機能発現(認知機能、運動機能)を下支えする脳内代謝動態を明らかにすることを目指します。