私達は、代謝性脳症や精神疾患など、脳の難病に対する発症予測、予防、治療法の開発に挑戦しています。
特に、生後早期に発症し予防が困難な遺伝性の代謝性脳症に対しては、新しい治療法の開発を目標としています。例えば、GLUT1欠損症などに対して、アデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子治療法の開発を進め、臨床応用を目指しています。
また、統合失調症、双極性障害、うつ病といった精神疾患については、発症予測と予防法の開発に重点を置いています。特に、脳および網膜血管の構造や機能異常を定量的に評価し、これらを発症予測の指標とすることで、疾患の早期発見および予防の実現に取り組んでいます。
代謝性脳症と精神疾患の双方において病態の詳細な理解が重要であるため、組織透明化技術、空間トランスクリプトーム解析、ファイバフォトメトリー、バイオセンサーなどの先端技術を駆使し、遺伝子・分子・細胞・組織・個体レベルにわたるマルチスケールなアプローチで、血流を含めた脳代謝機構の包括的な解明とその破綻が脳疾患の発症や進行に与える影響を明らかにすることを目指しています。