脳機能再建プロジェクト
脳脊髄損傷後の機能回復機序解明と機能再建法の開発

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  • 公益財団法人東京都医学総合研究所
    脳機能再建プロジェクト
    Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science
    〒156-8506
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研究内容

人工神経接続による脳機能再建・機能回復促進


脊髄損傷を受けると、脳と脊髄の連絡が遮断され運動麻痺に陥ります。人工神経接続はコンピューターを介して損傷を免れた神経同士を接続し、脊髄損傷者が人工神経(Nishimura et al., 2013a; 2013b)を介して麻痺身体に再び運動を促すことができる可能性を有しています。我々はこれまで、非侵襲型の人工神経接続を開発し(Sasada et al., 2014)、下肢麻痺のある脊髄損傷者が自身の意思で脊髄神経回路を刺激して歩行運動を随意的に制御することに成功しています。また、これを長期間継続することで人工神経接続がない状態でも自分の脚で歩けるようになった例もあります。つまり、人工神経接続の技術は、麻痺した運動機能を一過性に再建するのみに留まらず、その継続によって随意運動機能を回復させる可能性を持っています。当プロジェクトでは、この人工神経接続の研究を通して、運動麻痺を呈する脳梗塞や脊髄損傷者の随意運動機能回復を促進する革新的な脳機能再建法・リハビリテーション法を開発し、実用化することを目指しています。

Nishimura Y, Perlmutter SI, Eaton RW, Fetz EE (2013a) Spike-timing-dependent plasticity in primate corticospinal connections induced during free behavior. Neuron 80:1301–1309.

Nishimura Y, Perlmutter SI, Fetz EE (2013b) Restoration of upper limb movement via artificial corticospinal and musculospinal connections in a monkey with spinal cord injury. Front Neural Circuits 7:57.

Sasada S, Kato K, Kadowaki S, Groiss SJ, Ugawa Y, Komiyama T, Nishimura Y (2014) Volitional walking via upper limb muscle-controlled stimulation of the lumbar locomotor center in man. J Neurosci 34:11131–11142.


心と身体運動を繋ぐ神経基盤の解明


心の状態によって運動パフォーマンスのレベルが左右されることは誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。私たちは、このような心の状態(情動)がどのように身体の運動に影響を与えているのかを明らかにすることを目指しています。これまで、私たちは脊髄損傷モデルのサルを用いて、脊髄損傷後の機能回復初期に意欲の生成に重要と言われている中脳辺縁系の側坐核が一次運動野の活動を生み出し、運動制御に関与していることを示してきました(Sawada et al., 2015; Nishimura et al., 2011)。モデル動物を用いて、この意欲の生成に関わる中脳辺縁系の神経活動を操作し、行動や多領域脳活動、さらには筋電図などの多次元生体信号を記録することによって、心と身体を繋ぐ神経基盤の解明を目指しています。さらには、ヒトを対象とした心理物理実験などからも、リハビリテーションや教育現場における効果的な社会的介入法の確立を目指しています。

Sawada M, Kato K, Kunieda T, Mikuni N, Miyamoto S, Onoe H, Isa T, Nishimura Y (2015) Function of the nucleus accumbens in motor control during recovery after spinal cord injury. Science 350:98–101.

Nishimura Y, Onoe H, Onoe K, Morichika Y, Tsukada H, Isa T (2011) Neural substrates for the motivational regulation of motor recovery after spinal-cord injury. PLoS ONE 6:e24854.


神経オシレーション活動の運動制御における役割


運動準備時や運動実行時、さまざまな周期を持つ特徴的な脳活動(電位変化)が観察されます。しかし、こうした神経オシレーション活動が身体運動の発現にどのように寄与しているのかは未だ十分に明らかにされていません。わたしたちはこれまでの研究で、複数の脳領域が示すそれぞれ特徴的なオシレーション活動が身体動作と密接に関係することを明らかにしてきました(Nishimura et al., 2009; Sawada et al., 2015; Yokoyama et al., 2016)。これからは神経オシレーション活動を人為的に操作することによって、運動制御におけるその因果的役割を明らかにすることを目指しています。

Nishimura Y, Morichika Y, Isa T (2009) A subcortical oscillatory network contributes to recovery of hand dexterity after spinal cord injury. Brain 132:709–721.

Sawada M, Kato K, Kunieda T, Mikuni N, Miyamoto S, Onoe H, Isa T, Nishimura Y (2015) Function of the nucleus accumbens in motor control during recovery after spinal cord injury. Science 350:98–101.

Yokoyama O, Nakayama Y, Hoshi E (2016) Area- and band-specific representations of hand movements by local field potentials in caudal cingulate motor area and supplementary motor area of monkeys. J Neurophysiol 115:1556–1576.


動作のアイデアに基づく運動を実現させる神経メカニズムの研究

   
私たちが日常行う行動は、動作のアイデア(何のためにその動作を行うか)と運動(どのような運動を行うか)に分けることができます。例えば、赤信号で停車する場合、同じ「止まる」という動作のアイデアに対して、自動車を運転している時には「足でペダルを踏む」、バイクを運転している時には「手でレバーを握る」というように異なる運動を実行する必要があります。私たちはこれまでの研究で、前頭葉の運動野と高次運動野や前頭前野、さらに大脳基底核がこれらの行動に関与することを明らかにしてきました (Nakayama et al., 2008; Yamagata et al., 2009; Yamagata et al., 2012; Arimura et al., 2013; Nakayama et al., 2016)。現在は、fMRIを利用し、人間特有の動作アイデアに基づく運動実行メカニズムを解明することを目指しています。

Nakayama Y, Yamagata T, Tanji J, Hoshi E (2008) Transformation of a virtual action plan into a motor plan in the premotor cortex. J Neurosci 28:10287–10297.

Yamagata T, Nakayama Y, Tanji J, Hoshi E (2009) Processing of visual signals for direct specification of motor targets and for conceptual representation of action targets in the dorsal and ventral premotor cortex. J Neurophysiol 102:3280–3294.

Yamagata T, Nakayama Y, Tanji J, Hoshi E (2012) Distinct information representation and processing for goal-directed behavior in the dorsolateral and ventrolateral prefrontal cortex and the dorsal premotor cortex. J Neurosci 32:12934–12949.

Arimura N, Nakayama Y, Yamagata T, Tanji J, Hoshi E (2013) Involvement of the globus pallidus in behavioral goal determination and action specification. J Neurosci 33:13639–13653.

Nakayama Y, Yamagata T, Hoshi E (2016) Rostrocaudal functional gradient among the pre-dorsal premotor cortex, dorsal premotor cortex and primary motor cortex in goal-directed motor behaviour. Eur J Neurosci 43:1569–1589.


 

 

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