2015年9月11日(金)及び 9月18日(金) 3限~4限「生命科学特別講義」(学部との共通科目;南大沢)

細胞の増殖•癌化•老化の鍵をにぎるゲノム/染色体複製と安定性維持の分子メカニズム、その起源と進化

①授業方針・計画・内容

 ゲノムの安定な維持継代は細胞の増殖と生存にとって必須である。特にDNA複製の正確な進行と完了は生物の生命維持の根幹にかかわる問題である。この過程の異常は、がん、神経性疾患など多くの疾患の原因、また老化にも関連する。本講義では、大腸菌、分裂酵母、動物細胞さらに変異マウスをモデルとして用いた、ゲノム複製制御、その障害に対する細胞応答の分子機構の基本を分かりやすく説明し、ゲノムのキャリアである染色体のB型らせん構造以外の特殊DNA構造、核内での高次構築、配置がゲノム機能発現をどのように制御するかを考察する。更に、研究成果に基づいた、新しい制がん戦略・創薬の開発について論じる。又、我々の最新の成果に基づきDNA複製の起源と進化についても議論する。

②習得できる知識・能力や授業の目的・到達目標

正井久雄:ゲノムの本体であるDNA・染色体の構造、細胞周期進行、ゲノム/染色体安定維持の分子機構について最新の知識を習得するとともに、現在未解決の重要な問題を提起する。又、問題を解決するための最新の実験技術について学ぶ。更に、学生の皆さんとともに問題に対するモデル、実験的アプローチについて討論する。これらの活動を通じて、自分自身で問題を発見し、それを解決するための方策•戦略を提起する能力の獲得を目指す。