Carbonyl stress and schizophrenia. Arai M, Miyashita M, Kobori A, Toriumi K, Horiuchi Y, Hatakeyama S, Itokawa M. Psychiatry Clin Neurosci. 2014 Sep;68(9):655-65.
薬物療法と心理社会的治療の適切な組み合わせは、統合失調症の回復に必要不可欠です。これまで、統合失調症の根本的なメカニズムを解明しようと様々な努力がこころみられてきていますが、その原因と病態はいまだ明らかとなっておりません。その要因のひとつには統合失調症が様々な生物学的な違い(異種性)があり、こうした医療ニーズに応えるためにも新しいタイプの創薬が不可欠です。私達は、統合失調症患者の一部の集団において血漿ペントシジンの蓄積と血清ピリドキサールの枯渇を伴う特発性カルボニルストレスを報告しました。メチルグリオキサールなどの有害な反応性カルボニル化合物の蓄積は、カルボニルストレスの典型的な所見であり、これはペントシジンのような蛋白質の修飾物を発生させ、終末糖化産物を生成させることが知られています。私達は、ペントシジンとピリドキサールという2種類のマーカーが、統合失調症患者さんの特定の亜集団を層別化するために有益であると考えており、現在は臨床症状評価や心理検査データとの関連を検証しております。将来的には、こうしたin vitroとin vivo研究がもたらす情報が、統合失調症における個別化医療や、より有効な治療法を開発するために有益であると考えています。