学習記憶プロジェクト | 公益財団法人 東京都医学総合研究所 学習記憶とその障害の分子機構の解明プロジェクト 〒156-8506 東京都世田谷区上北沢2-1-6 電話:03-6834-2425 |
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研究内容の紹介学習・記憶の分子メカニズムへのアプローチ ![]() ショウジョウバエは、遺伝学的解析を行うことが容易なモデル動物です。学習記憶機能が障害された突然変異体を探し出したり、特定の遺伝子を破壊することで、学習記憶機能がどのように変化するのかを解析することで、どのような分子が学習記憶機能に関係しているのかを明らかにすることができます。 我々はこれらの学習・記憶装置と遺伝学的な解析、さらには最新の分子生物学的手法や生化学的な手法を組み合わせることで、近年以下のことを明らかにしてきました。 1)ほ乳類とショウジョウバエで記憶獲得に共通に重要な分子にNMDA受容体があり、この受容体のCa2+の透過性はMg2+によって調節されています。この調節機構は記憶の獲得そのものに必須であり、coincidence detectorとして機能すると考えられてきました。しかし、我々の研究からMg2+による調節はむしろ長期記憶を保持するための遺伝子発現に関与していることが明らかにされました。 (詳細ページへ) 2)適度な空腹状態は、報酬学習によって記憶を獲得するのに必要な前条件であります。我々はこの空腹状態が罰学習においても重要な内部状態であり、通常長期記憶ができないような弱い学習でも、ハエが空腹であれば十分長期記憶を形成できることを発見しました。さらに、空腹であることがインスリンを介したTORC分子の活性化を調節し、さらにその下流にあるCREBによる遺伝子転写を調節していることが重要な分子経路であることを同定しました。 (詳細ページへ) この実験系を用いて、我々は最近以下のことを明らかにしました。 3)ハエの脳を単離し、匂い中枢を刺激すると記憶中枢での神経活動が観測されます。次に、匂い中枢と痛みを脳に伝える神経繊維を同時に繰り返し刺激します。その後、再び匂中枢だけを刺激すると、以前に比べて記憶中枢の神経活動が増強していることを見出しました。この増強は、様々な面で上記の匂いと電気ショックによる記憶と類似していることから、我々はこの単離脳に匂い記憶様の可塑的変化を引き起こすことができたと考えています。 (詳細ページへ) |