Reserch

研究内容紹介

視覚病態プロジェクトの研究紹介

先進諸国における失明の主な原因は、網膜と視神経の変性疾患です。なかでも日本では「正常眼圧緑内障」が重要な課題とされており、その詳細な発症メカニズムはいまだ十分には解明されていません。

当研究グループは、グルタミン酸輸送体遺伝子の欠損マウスが世界初の正常眼圧緑内障モデル動物であることを報告しました(J Clin Invest, 2007)。この発見を契機に、病態の解明と治療法の開発に向けた多角的な研究を展開しています。

主な研究テーマと成果

・遺伝子治療研究
疾患モデルを用いて、網膜および視神経疾患に対する遺伝子治療の開発に取り組んでおり、その成果の一部は Molecular Therapy (2023)に報告されています。
・視神経再生研究
グアニンヌクレオチド交換因子 DOCK3 を用いた軸索再生の促進に成功し、Science Advances (2025)、PNAS (2010)などで成果を発表しています。
・グリア細胞の役割解明
神経細胞に加え、グリア細胞の病態への関与にも注目し、メカニズム解析と治療標的としての可能性を追求。PNAS (2022)、Science Advances (2022)、J Biol Chem (2019, 2020)などに成果を報告しています。
・霊長類モデルによる実用化研究
基礎研究の成果をヒト臨床に橋渡しするため、霊長類を用いた応用研究を推進しており、Scientific Reports (2019, 2025)、Neuroscience Letters (2025)に成果を公表しています。

これらの研究を通じて、視覚障害の発症機構の理解をさらに深め、より効果的な治療法の開発と臨床応用を目指しています。