睡眠プロジェクト

ご挨拶

睡眠障害の多層的病態解明と診断・治療基盤の確立

プロジェクトリーダー 宮川 卓

プロジェクトリーダー 宮川 卓

睡眠障害は、個人の健康や日常生活に深刻な影響を及ぼすだけでなく、労働生産性の低下、さらには産業事故や交通事故の一因ともなり得る社会的にも重要な課題です。とりわけ過眠症は診断が難しく、病因が十分に解明されていないため、現状では対症療法に依存せざるを得ません。これは患者さんの生活の質を大きく損なう要因となっています。

私たちは、こうした状況を打開するために、睡眠障害の遺伝的要因や分子基盤の解明に取り組んでいます。特にナルコレプシーや特発性過眠症といった中枢性過眠症の研究を通じて、特定の遺伝子多型やエピゲノム変化が中枢性過眠症の発症に深く関与することを明らかにしてきました。さらに、ゲノム解析や多層オミックス解析を駆使し、病態の多様性を遺伝子・分子レベルで理解することを目指しています。

また、動物モデルを用いた基礎研究との連携を強化し、ヒトでの臨床研究と橋渡しを行うことで、新たな診断指標や治療標的の開発につなげています。これにより、個々の患者さんに最適化された個別化医療の実現を加速させ、最終的には社会全体のQOL向上に寄与することを目標としています。

私たちは、国内外の研究機関や臨床現場との協力体制をさらに充実させながら、睡眠障害研究の最前線を切り拓いてまいります。今後も本分野の発展に貢献できるよう全力を尽くしてまいります。