上から、尾崎紀夫先生、新井誠研究員(司会)、講演会場
こどもと母のメンタルヘルス と題して、第6回都医学研都民講座を開催しました。今回は、名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野教授の尾崎紀夫先生を講師にお迎えしました。
日本では2018年に成育基本法が公布され、子どもと母の心身の健康を確保するための施策を推進することとしましたが、都の妊産婦の死亡原因に関する調査では、最大の死亡原因は自死で、うつ病等のメンタルヘルスの不調が多くの割合を占めていることがわかりました。尾崎先生からは、妊娠出産は、喜ばしいことであるものの、ホルモンの変化等が脳に影響をもたらし、育児への不安を感じているうちに、精神的に不調になり、うつ病等を発症することがあることから、妊娠出産に伴うメンタルヘルスの不調とその対処法をお話しいただきました。例えば、脳の扁桃体は不安や恐怖を感じた際に眠らないように働くものですが、育児への不安を抱くことで眠れなくなることがあるため、夜間は家族に育児を任せ、睡眠を確保することが大事であるといったお話しがありました。また、うつ病になった場合には、励ましや気晴らしといった精神的な休息の確保は難しく、かえって逆効果になることを周囲に理解してもらう必要があるとのことでした。
講演後のアンケートでは、「自分がいま妊娠中のため、出産に向けて知識を得られてよかった。」といった御意見を多く頂きました。
控え室にて(左から尾崎紀夫先生、新井誠研究員)