講演要旨
概日時計やメトロノームなどといった振動子は、周期的な刺激を受けると、その刺激が十分強ければ刺激の周期に同調します。また複数の振動子が相互作用すると、相互作用の強さが十分強ければ振動子の個性の差を乗り越えて、2つの振動子は同調します。このような現象を一般に同期と呼びます。この講義では、同期現象を簡潔に記述する位相振動子モデルについて解説します。高校レベルの数学だけで、モデルの概略が理解できます。またモデルを使って、単発あるいは慢性的な時差下での、遺伝子発現・体温・行動リズムなどを記述する試みについて紹介します。
数理モデルは、思いのままに操作できる安い実験系です。理解を助け、また、自分の持つ仮説を検証できるプラットフォームとなります。そして、数理モデルは、その明瞭さから、分野、対象、理論家・実験家をつなぐ共通言語となります。この講義を通して、数理モデルにより親近感を持っていただければ幸いです。