開催報告

2022年度 都医学研夏のセミナー「難病の地域ケアコース」
“難病”―よりよい日々の暮らしを支えるしくみを創る:難病保健をすすめる―


難病ケア看護ユニット 主席研究員小倉 朗子

“難病”と当研究ユニットのこと

日本では、1972年から “難病対策” が実施され、2015年には、「難病の患者に対する医療等に関する法律(通称:難病法)」が施行されました。難病法では、“難病” を「発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少な疾病、長期の療養を必要とするもの」と定め、「難病の克服」「社会参加の機会の確保」「尊厳の保持・共生」を基本理念とする施策を実施しています。

当ユニットでは、1974年より、ALS( 筋委縮性側索硬化症 ) などの “難病” を対象に、「困難な症状や障害への対応法」「療養を支えるしくみづくり」についての研究にとりくんでおり、本セミナーは研究成果の普及交流を目的に実施しました。

夏のセミナーの対象は保健師のみなさん。実施したことは?

セミナーは、全国の保健所等にご所属の保健師を対象に行い、研究成果、施策や制度、難病保健についての講義、また「診療や看護が受けられるための体制づくりや災害対策の取り組み」を学び合う交流企画で構成し、オンラインで実施しました。受講生は86人。聴講生67人、全国28都道府県、55自治体からの参加がありました。

“地域のしくみを創る保健活動” のすすむことを願って!

“難病” の日々の暮らしには、“保健・医療(含む看護)・福祉” が必要で、「地域ケアシステム(日々の療養・生活・暮らしを支えるしくみ)の構築・拡充」は、保健(保健師活動)の重要な役割の1つです。そして本セミナーでは、“難病・ALS” の理解を深め、また日々の安心に必要な「地域ケアシステムを構築する取り組み」を学びあいました。

本セミナーの成果が、受講生みなさんのご活動の糧となりますことを、そして保健活動の成果が、“難病患者さん・ご家族” の「日々のよりよい暮らし」へとつながりますことを切に願い、また保健師のみなさまのご活動への感謝を述べて、稿を終えます。

板垣研究員、外部講師:千葉圭子氏・小川一枝氏
 板垣研究員、外部講師:千葉圭子氏・小川一枝氏

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