2025年度 都医学研夏のセミナー 基礎・技術コース（高校生対象）

哺乳類の脳には「大脳新皮質」という部分があり、6つの層からできています。この6層のおかげで、私たちは複雑な感覚や情報をしっかり処理することができます。実は、この6つの層にはそれぞれ違った特徴があり、どの層にどんな細胞がいるかは動物の種類によっても違います。

このセミナーでは、「哺乳類」と「鳥類」の大脳がどのように違っているのかを一緒に考えていきます。6つの層は、おおまかに「上のほうの層」と「下のほうの層」に分けることができるので、それぞれの層にいる神経細胞の特徴に注目します。そして、進化や発生についての実験をみんなで進めていきます。

具体的には、マウス（哺乳類）とニワトリ（鳥類）の脳を使い、最新の方法で神経細胞を「色づけ（染色）」して観察します。このとき、発生のどの段階でどんな神経細胞ができているのかを調べます。そのあと、画像を使って詳しく解析し、神経細胞が「いつ生まれて」「どこに移動したのか」という関係が、哺乳類と鳥類で似ているのか、違っているのかをみんなで話し合います。

セミナーの内容は、①実際に細胞を染める実習と、②「子宮内エレクトロポレーション」という実験の見学の2つです。まず、参加者を2つのグループ（AとB）に分けます。Aグループは「上の層の神経細胞」、Bグループは「下の層の神経細胞」に注目して実験を行います。それぞれのグループが得たデータや結果を発表し合い、最後に6層全体のしくみや神経細胞が生まれるタイミングとのつながりについて、みんなで考えます。さらに、哺乳類と鳥類で「同じ部分」と「違う部分」がどこなのかを一緒に話し合います。

このセミナーは、高校生のみなさんにも科学や脳の面白さをわかりやすく伝えることを目指しています。興味を持って楽しく参加してもらえたらうれしいです。