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がんについて

2025/6/16

がんとはなにか?なぜこわいのか?

by Masatoshi Muraoka

私たちの体は、約30兆個の細胞からできています。これらの細胞はそれぞれ役割を持ち、協力して体を健康に保っています。

がんは、そのたくさんの細胞のうちの1つが異常になり、勝手に増え続けてしまうことでできます。

ふつうの細胞も分裂して増えますが、ちゃんと寿命が決まっていて、役目が終わると死ぬようになっています。でも、がん細胞はそのしくみが壊れてしまい、いつまでも増え続けてしまいます。

さらに、がん細胞は、もとの場所にとどまらず、周りのちがう組織にも入り込んできます。これを「浸潤(しんじゅん)」といいます。

浸潤が進むと、がん細胞が血管やリンパ管に入り込み、体の別の場所に運ばれることがあります。そして、そこでまた増えます。これが「転移」です。

がんのこわい理由

がんがこわい理由は大きく2つあります。

1. 臓器や体のはたらきをこわしてしまうこと

たとえば、脳にがんができると、がんが脳をおしつけて、脳がうまく働かなくなることがあります。お腹の中の消化器にがんができると、食べ物の通り道がふさがれて、栄養がとれなくなってしまいます。胆管(たんかん)や尿管(にょうかん)でがんが大きくなると、肝臓や腎臓が悪くなってしまうこともあります。

2. がん細胞や、がんに壊された組織にある細胞が出す物質が体に悪さをすること

がん細胞は、元のふつうの細胞とはちがった物質を出します。また、がんが入ってきた組織もダメージを受けると、よくない物質を出してしまいます。これらはその組織の正常な働きを阻害することがあります。また、これらの物質は血液にのって全身に広がり、体に悪い影響を与えます。

たとえば、そうした物質が骨の中にある「骨髄(こつずい)」に届くと、血液の細胞がうまく作れなくなり、免疫が弱くなって病気にかかりやすくなります。

また、「悪液質(あくえきしつ)」という、食欲がなくなって筋肉量が急に減ってしまうような状態になることもあります。これもがんやその周りの細胞が出す物質が原因と考えられています。

さいごに

がん細胞は、ただ増えるだけでなく、ふつうの細胞とはちがった性質を持っていて、それが体をこわす原因になります。がんを治すためには、こうしたがんの性質をくわしく知ることが大切です。今ではたくさんの研究が行われていて、新しい治療法も開発されています。このシリーズでは、がんについてさらにくわしくお話ししていきます。