アメリカ国立衛生研究所(NIH)では、COVID-19患者の臓器(肺、肝臓、腎臓など)の病理画像リポジトリを公開しています。下記URLからアクセスして、メイルアドレスを入力して、セキュリティーチェックを入れたあと、Submit request (登録申請)をクリックすると、バーチャルスライドの閲覧画像リポジトリへ入室することができます。下記の利用ポリシーに従えば、誰でもアクセスして閲覧することができます。
https://covid19pathology.nih.gov/view
入室したあとは、
COVID19 public(公開) → Autopsies(病理解剖) → Images by Organ(臓器別画像) → Lung(肺)
のように進んでゆくと、目的の病理画像に到達できます。
COVID-19の臓器ターゲットは、様々なようですが、最も重篤な死因となる間質性肺炎の像は、血液と間質成分が豊富で充実性の、あたかも脾臓のような様相を呈しており、正常の肺と比べると、血液ガス交換の場である肺胞が、血液や細胞成分で充満しており、また、その周囲の間質という部分が分厚くなっていいることが一目瞭然です(下図)。筆者は若い頃に呼吸器内科を経験したことがあり、人工呼吸器症例を数多く拝見してきましたが、このような状態になると、人工呼吸器などで酸素を供給しても、動脈血内酸素濃度を正常に維持することは極めて困難になることは自明です。
口や鼻から吸い込まれた空気(酸素)は気管を通って肺内の気管支の枝を通ります(動画前半)。ほこりや細菌などは、粘膜(多列線毛上皮)の腺毛によって気管をさかのぼり排除されます。一方、空気(酸素)は、気管支の末梢部分の肺胞という小さな袋に到達して、肺胞中隔の毛細血管に酸素が届き、全身に酸素が届けられます(動画後半)。
COVID-19の肺炎では、肺胞中隔などのいわゆる間質において、サイトカインストームによる激しい炎症が生じ、また、肺胞に出血がおきることにより、ガス交換の場が失われます(下図)。
下記は、COVID Digital Pathology Repository(COVID-DPR、COVID デジタル病理リポジトリ)のオリジナルサイトの解説文の訳ですので、ご一読いただいたあと、趣旨に賛同した上でご覧ください。
COVID Digital Pathology Repository(COVID-DPR、COVID デジタル病理リポジトリ)は、COVID-19ウイルスのパンデミックに直面している生物医学コミュニティをサポートするためのリソースです。 COVID-DPRの目標は、COVID関連の病理のスライド画像全体(Whole slide images; WSI)をコミュニティのリソースとして利用できるようにすることで、以下の機能を有しています。
COVID19 DPRはNIHでホストされていますが、国際および米国での申請を求めており、臨床的ニーズをサポートし、すべての研究者の研究を促進するように設計されています。
COVID-19 Digital Pathology Repository(COVID DPR)は、NIH契約に基づいて運営されるNIHデータ共有リソースであり、コロナウイルス病2019(「COVID-19」)の診断を受けた、またはその症状がある個人からの臨床および画像データを含みます。比較研究をサポートするために、SARS 1、MERS、H1N1などの病原体に感染した個人の画像とデータも含まれています。 COVID DPRは、COVID-19パンデミックと闘い、公衆衛生を保護するための政府の対応の一部です。 NIHは、COVID-19感染の臨床自然史を定義し、治療反応と転帰を評価するための研究の実施と支援、および以下を含む幅広い研究の実施と支援を含む、公衆衛生の目的と意思決定のためにCOVID DPRを使用しています。 COVID-19の危険因子の特定と効果的な対策と診断法の開発。 NIHはまた、COVID-19パンデミックと戦うための政府の対応を支援する調査官にCOVID DPRへのアクセスを提供します。
COVID DPRのデータには、個人を特定できる情報は含まれていません。データユーザーは、以下に概説する契約条件に同意することにより、COVID DPRにあるデータにアクセスします。
データユーザーは以下に同意します。