
昼間は太陽が照っていて何でも明るく見えるけど、太陽が沈み夜になると暗くなるので照明がないと何も見えなくなりますね。そもそも、太陽の光って何ですか?

太陽光は太陽が放射する電磁波という電気と磁気がつくる波です。

電磁波!?

太陽光を三角柱のガラス器具であるプリズムに当てると、7色の光に分かれます。
これで、太陽光には7色の光が含まれていることがわかりますね。実は太陽光にはそれだけでなく、電波やX線、ガンマ線なども含まれています。

曲がってる!七色になっていますね!

さっき太陽光は「波」と説明しましたが、波には山と谷があって、隣り合う山と山の間の距離を「波長」といいます。ラジオ放送などに使われる電波は波長が長く(1 mm程度より長い電磁波)、レントゲン検査に使われるX線は波長が短い(1 pm 〜 10 nm程度の電磁波)ことが知られていますが、どちらも目に見えません。目に見える太陽の光は、380nm(紫色)~800nm(赤色)の波長をもつ電磁波で「可視光線」と呼ばれています。
[単位の解説 p ピコ:1兆分の1、n ナノ:10億分の1]

聞いたことあります!

紫色より外側(短波長側)の10nm~380nmの電磁波は目に見えなくて、「紫外線」と呼ばれ殺菌や消毒の作用を持っています。また赤色より外側(長波長側)の800nm~1mmの電磁波も目に見えなくて、「赤外線」と呼ばれて熱を伝える性質を持っています。

なんでプリズムを通ると7色に分かれるのですか?

それを説明するために知る必要がありますが、光には速さがあることを知っていますか?
真空中では秒速約30万キロメートルで、1秒間に地球を7.5周できる速度です。そして太陽光が地球に届くまでには8分17秒かかるので、今けんた君が太陽を見たとしたら、それは今現在の太陽ではなく8分17秒前の太陽ということになるのよ。

へー、そうなんだ!

光はものの中を進むとき、遅くなることが知られています。水の中を進むときは、秒速22.5万キロメートル。ガラスの中を進むときは、秒速20万キロメートルまで遅くなります。そして、ここからがプリズムで太陽光が7色に分かれるしくみを説明する一つの考え方です。

プリズムに太陽光が斜めに入ると、光の進む速さが遅くなることにより進む方向が曲がることが知られ「屈折(くっせつ)」と呼ばれています。たとえ話になりますが、コンクリートの上を走っている車が斜め方向に砂地に入る場面を想像してみてください。砂地ではスリップするので、進む速さが遅くなります。以下の動画で説明しますが、車輪Aは先に砂地に入るので遅く進むのに対し、車輪Bはまだコンクリート上なので速く進みます。そうすると、結果的に進む方向が曲がることがわかりますね。

そして、この曲がり具合(屈折率)は光の波長によって違うことが知られ、波長が長い赤色の光より、波長の短い紫色の光のほうが大きく曲がるので7色に分かれるのよ。
空に虹ができるのも同じ原理で、空気中の水滴がプリズムと同じ働きをするからなのよ。

ふ~ん。そうなんだ。だから虹は、雨上がりに見えるんですね。

また光は空気中を進むとき、酸素や窒素、ちりなどにぶつかると方向が変わり四方八方に放出される現象が知られ「散乱(さんらん)」と呼ばれています。そして散乱は波長が短いほどされやすいことが分かっています。昼間の空は青く見えるけど、夕焼け空はなぜ赤いのか知っていますか?

教えて、教えて!

動画で説明するわね。地球の大気中では短い波長の青色の光がより強く散乱されるため、空が青くみえます。夕方の太陽光は地平線近くを通るため大気を通過する距離が長くなります。その間に青い光はほとんど散乱されてしまい、残った赤やオレンジの光が私たちの目に届くため、夕焼けが赤く見えます。

可視光線が屈折によって7色に分かれることがわかったところで、次は違う色の光を混ぜてみましょう。懐中電灯に青、赤、緑色のセロハンを貼り付け、青、赤、緑色の光を作ります。それを重ねたら何色になるかな?

青い光と赤い光が重なった部分はピンク色に見えた!

これをマゼンタといいます。

緑の光と赤い光が重なった部分は黄色(イエロー)に見えた!

そうですね。

青い光と緑の光が重なった部分は水色に見えた!

これをシアンといいます。
そして青赤緑の光を重ね合わせると白い光ができます。また青赤緑の光の割合を変えて混ぜるとすべての色の光を作ることができます。このことから、青赤緑は「光の3原色」といいます。

このことを利用した様々な電化製品が、みんなのうちにもあると思います。
たとえばテレビの画面を虫めがねでのぞいてみてください。

黄色の部分は緑と赤が並んでいるよ。水色の部分は青と緑が並んでいる。ピンクの部分は青と赤が並んでいる。白の部分は青と緑と赤が並んでいるだけなんですね!!

そう。小さすぎて見分けがつかないから、並んでいるだけで混ざって見えるのね。
それから、みなさんのうちの照明にも使われているんじゃないかしら?

1879年にエジソンが白熱電球を発明し、実用化されました。ものに電流を流すと高温になり白く光ることを利用したものだったので、電気エネルギーはほとんど熱に使われてしまい、約10%しか光になりませんでした。その後、蛍光灯が開発され1937年に実用化されましたが、それでもエネルギー効率は低く電気エネルギーの約20%しか光になりませんでした。2027年で蛍光灯の国内生産が終了することになりましたね。

その代わりに使われているのが、みなさんもご存じの発光ダイオード(英語でLED)を使った白色LED照明ですね。歴史は意外に古く1962年に赤色の発光ダイオードが発明されました。そして1972年に緑色の発光ダイオードが発明され、あとは青色の発光ダイオードが発明されれば、白色だけでなくすべての色の光を少ない電流で作り出すことができることから、世界中で開発が目指されました。そんな中で1988年に日本の研究者によって開発が成功し、世界中で広く使われるようになり、2014年に 「明るく省エネルギーの白色光源を可能にした効率的な青色LEDの発明」と功績が評価され、赤崎勇博士、天野浩博士、中村修二博士がノーベル物理学賞を受賞しました。

いままで光の色について学んできましたが、物の色はどのように決まるのですか?

物の色は光源からものに届く光のうち、物に吸収されずに反射した光で決まります。リンゴが赤く見えるのは、白色光がリンゴに当たり赤い光のみが反射されて目に届くからです。

光に3原色があるように、物の色にも3原色ってあるんですか?

けんた君の身の回りにヒントがあるかもしれません。

うちにあるプリンターのインクに、シアン、マゼンタ、イエローと書いてありましたが、もしかしてこれが物の色の3原色なんですか?

その通りです!シアン、マゼンタ、イエローのインクを混ぜることで、すべての色を作ることができます。
シアンは赤色の光を吸収し、緑色と青色の光を反射するから、光を重ねる実験でやったとおりシアンに見えるのよ。マゼンタは緑色の光を吸収し、赤色と青色の光を反射するから、マゼンタに見えます。また、イエローは青色の光を吸収し、赤色と緑色の光を反射するから、イエローに見えます。[図1段め解説:白色の入射光を赤緑青色の下向き矢印、反射光を上向き矢印であらわしました。] そして、シアン、マゼンタ、イエローを混ぜ合わせると赤緑青の光を吸収してしまうので黒くなるのよ。
シアンとマゼンタを混ぜると、赤色と緑色の光を吸収し、青色の光を反射するので青になります。シアンとイエローを混ぜると、赤色と青色の光を吸収し、緑色の光を反射するので緑になります。また、マゼンタとイエローを混ぜると、緑色と青色の光を吸収し、赤色の光を反射するので赤になります[図2段め]。そして、青色、緑色、赤色の絵の具を混ぜると、赤色、緑色、青色の光を吸収して、反射する色がないから黒になります[図3段め]。

ところで、人間はどうやって波長が380から800nmの電磁波を、可視光線として見ることができるのですか?

目の奥には網膜があり、光を感じる細胞である「視細胞」が並んでいるのよ。視細胞には2種類の細胞があって、明暗を感じる「桿体(かんたい)」と色を感じる「錐体(すいたい)」があります。錐体には光の3原色それぞれの波長に反応する3種類があって、長波長には赤を感じる「赤錐体(またはL錐体)」、中波長には緑を感じる「緑錐体(またはM錐体)」、短波長には青を感じる「青錐体(またはS錐体)」が知られています。錐体が光を受けると電気信号に変わり、電気信号が視神経を通って脳の視覚野に伝わり、3つの電気信号の強度の⽐で⾊が認識されます。ただ中には、2種類の錐体しか持たない人もいて視覚多様性が存在することが知られています。

動物の種類によって持っている視細胞の種類や割合が大きく異なることも知られています。たとえば、多くの哺乳類は2種類の錐体しか持たず、鳥類は4種類の錐体を持っています。またミツバチは赤錐体がない代わりに、紫外線を感じる視細胞を持っています。このことで花びらの中でも、蜜や花粉が多い中心部を見分けることができます。

ミツバチにとって紫外線は何色に見えるんだろう?

それはミツバチさんに聞いてみないと、わからないんじゃないかしら?

視細胞が光を受けると、どういうしくみで電気信号に変わるのですか?

視細胞の中には光を感じる視物質があるの。視物質は、視物質タンパク質とレチナール(ビタミン Aから作られる)の複合体です。レチナールが光を受けると立体的な構造が変化することによって、視物質タンパク質が活性化します。それがきっかけとなり、視細胞の中で一連の反応がおき電気信号が生み出されます。

ふ~ん。ところで、なんで光の3原色は、青緑赤なんですか?

光の3原色が青緑赤である理由は、この3色を混ぜ合わせることでほとんどすべての色を作り出せるからです。もし赤錐体、緑錐体、青錐体以外の感度を持つ色を3原色に選んでしまうと、特定の色の情報が欠けてしまったり、重複してしまったりします。目の構造上、青緑赤が最も効率よく。広い範囲の色を表現できる組み合わせなのです。
それでは、赤錐体、緑錐体、青錐体を持っていることを実感してみましょう。
左側の赤色の丸を30秒間じっと見たあと、右の枠内に視線を移動してみて下さい。

あっ!残像がうっすら見える。水色っぽいかな?

そう。
白い紙を見ると白色光(光3原色を含む)が網膜にあたり、赤錐体から赤が見える電気信号、緑錐体からは緑が見える電気信号、青錐体からは青が見える電気信号で出ることによって、白く見えますね(下図の1)。ここで赤い●を見ると、赤錐体から赤が見える電気信号が出ます(下図の2)。30秒間じっと見続けると赤錐体が疲労し赤が見える電気信号が弱くなります(感受性低下)(下図の3)。直後に白い紙に視線を移動して見ると、⾚錐体が疲労して感じにくくなり弱い電気信号しか出なくなったのに対し、緑錐体と青錐体からは正常に電気信号が出るため、緑と⻘が⽐較的に強く感じられ残像●が緑と青が混ざったシアンに⾒えたということです(下図の4)。

では、少し時間がたってから(赤錐体の疲労を回復させてから)、緑色の●で同じことをやってみましょう。

あっ!今度は、ピンク色に見えるみたい。

そう。
緑の●を見ると、緑錐体から緑が見える電気信号が出ます(下図の2)。30秒間じっと見続けると緑錐体が疲労し緑が見える電気信号が弱くなります(感受性低下)(下図の3)。直後に白い紙に視線を移動して見ると、緑錐体が疲労して感じにくくなり弱い電気信号しか出なくなったのに対し、赤錐体と青錐体からは正常に電気信号が出るため、赤と⻘が⽐較的に強く感じられ残像●が赤と青が混ざったマゼンタに⾒えたということですね(下図の4)。

次に少し時間がたってから(緑錐体の疲労を回復させてから)、青い●で同じことをやってみましょう。

あっ!今度は、黄色に見えた。

そう。
青い●を見ると、青錐体から青が見える電気信号が出ます(下図の2)。30秒間じっと見続けると青錐体が疲労し青が見える電気信号が弱くなります(感受性低下)(下図の3)。直後に白い紙に視線を移動して見ると、青錐体が疲労して感じにくくなり弱い電気信号しか出なくなったのに対し、赤錐体と緑錐体からは正常に電気信号が出るため、赤と緑が⽐較的に強く感じられ残像●が赤と緑が混ざった黄色に⾒えたということですね(下図の4)。

へー。面白い。実際には白い紙を見ているのに、残像に色がついているように見えるのは、脳神経の働きによるものなんですね。

ある色をしばらく見た後に残像として現れる色のことを心理補色といいます。
下の色のついた図は「色相環(しきそうかん)」と呼ばれ、向き合っている色を「補色」といいます。補色の色どうしが隣り合ったとき、お互いがより鮮やかに見えることが知られていますが、これを「補色対比(ほしょくたいひ)」といいます。また、補色どうしを混ぜると色がなくなることが知られ、「物理補色(ぶつりほしょく)」といいます。

色や形が状況や環境によって実際の姿とはちがって見える目の錯覚のことを「錯視(さくし)」といいます。たとえば次の星印の絵を見てください。左側は黒いストライプ、右側には白いストライプが重なっています。ぱっと見ると、星印の左側より右側が明るくみえますね。それではクリックして、ストライプを抜いてみましょう。



あれ!星の明るさは同じだ。

そう。これを明度の同化現象といいます。白いストライプが星印の右側にのっているように見えるから明るく感じます。また黒いストライプが星印の左側にのっているように見えるから暗く感じるのです。
今度は色のついた星印を見てみましょう。左の星には青いストライプが、右の星には黄色いストライプが重なっています。左の星の色と右の星の色は、どう見えますか?

まったく違う色だと思う。

では、クリックしてストライプを抜いてみてください。



あれ!同じ赤色だ。

左の星に緑色のストライプが、右の星にピンク色のストライプが重なっている場合は、どうかな?

やっぱり、左と右の星印の色は違うと思うけど、もしかして同じなの?
クリックしてストライプを抜いてみるね。



そのとおり!同じ赤色でした。これは「色の同化」と「色の対比」が同時に起こる「ムンカー錯視」といいます。
くわしい仕組みはまだわかっていませんが、これも脳神経のはたらきによるものであると考えられています。
色は、目に届いた光が視細胞を刺激して視神経を通り、脳で情報処理された知覚です。つまり、「色は目の前にあるのではなく脳の中にある」ということになりますね。

光について、いろいろわかってきました。一つ質問があります。中学生になって授業で覚えないといけないことが増えてきて、暗記しやすいように蛍光ペンを使い始めたんだけど「蛍光」ってなんですか?

蛍光は、物質が光を吸収して、すぐに別の色の光を放出する現象です。物質が特定の波長の光(紫外線など)を吸収すると、その物質内の電子が励起(れいき)状態になります。励起状態になった電子は不安定なので、すぐに元の安定した基底(きてい)状態に戻ろうとします。その際に、吸収した光よりも長い波長の光(可視光線など)を放出するのが蛍光です。

クロロフィルは、植物が太陽の光をエネルギーに変える「光合成」に欠かせない、緑色の色素で葉緑素とも呼ばれます。葉っぱが緑色に見えるのは、クロロフィルが含まれているからです。植物から抽出したクロロフィルに紫外線を当てると、赤く光ります。強い紫外線をブロッコリーやピーマンに当てるだけでも、赤く光りますよ。

陰干し用洗剤には蛍光増白剤が入っていて紫外線を当てると、青白く光ります。

なんで、蛍光増白剤を加えるんですか?

陰干しでは太陽光が当たらないので、乾くのに時間がかかります。そして、その間に雑菌が繁殖してしまい生地が黄ばんでしまうことがあります。そこで蛍光増白剤が入った陰干し用洗剤で洗濯すると、青い光を加えることになります。黄ばみによる黄色の光に蛍光増白剤による青い光を混ぜて白色に見せるという「物理補色」をうまく利用しています。蛍光増白剤には、黄ばみを打ち消し、白さを際立たせる効果があるのです。
話は少し離れますが、さきほど白色LED照明の話をした時に、赤色LED,緑色LEDと青色LEDを混ぜることによって白色LEDができたと説明したと思います。実は白色LEDを作るためには、青色LEDとその補色である黄色蛍光体の組合せで、白色光を得るという方法もあります。この方式は初めの方式に比べて構造が単純で、効率も高いため、現在主流となっています。
また紫外線を当てると様々な色に光るインクが開発されていて、使用済はがきに紫外線をあてると、光るバーコードが観察できます。郵便番号、住所をバーコード化し、しわけを機械により自動化することができるようになりました。

そういえば遊園地に行ったとき、再入場できるように手の甲にハンコを押されたことがあったけど、もしかしてそれも同じインク?

そうです。よく気付きましたね。

蛍光は、実際に僕たちの日常生活によく利用されているんですね。

日常生活だけでなく、生命科学研究や医療技術にも応用されはじめているのよ。
スウェーデン王立科学アカデミーは、2008年ノーベル化学賞を「緑色蛍光タンパク質の発見と開発」に対し、下村脩博士(日本)、Martin Chalfie博士(米国)、Roger Y. Tsien博士(米国)に贈りました。下村博士は、1962年にオワンクラゲから緑色蛍光タンパク質を最初に単離するとともに紫外線を当てるとこのタンパク質が緑色に光ることを発見しました。
現在、この蛍光タンパク質を使った解析技術は生命科学研究において必須の研究方法になっています。また、遺伝子工学的手法を組み合わせることにより、生きたマウスの中でがん細胞の転移を直接観察することができるなど、医療分野で「生きたままリアルタイム」の観察を可能にし医療応用に大きく貢献しています。