ざわこ先生、水溶液って何ですか?
簡単に言うと
「物質が水に溶けて液体になっているもの」です。
例えば、塩水や砂糖水がありますね。
突然ですがクイズです!
次のビーカーには、水溶液が入っています。
これは、塩水でしょうか?砂糖水でしょうか?どうすれば分かりますか?
簡単!なめてみて、しょっぱかったら塩水、甘かったら砂糖水です。
では、もし選択肢が無くて、
「これは何が溶けているでしょうか?」と質問されたらどうでしょう?
名前が書かれていない無色透明な液体は、何が溶けているか分かりませんね。なめても安全な液体なのかどうかも分かりません。
では、どうすればいいんだろう?
その場合は、水溶液の性質を調べると何か分かるかもしれません。
水溶液の性質?
たとえば、料理で使うお酢が溶けていたら、においをかげば、分かるかもしれませんね。
また、塩水は電気を通すけど、砂糖水は電気を通さない、という性質があります。
そこで今回のテーマ、「酸性、中性、アルカリ性」についてのお話になりますが、これも水溶液の性質の一つです。
家で使っている洗剤で、「酸性洗剤」や「アルカリ性洗剤」という言葉は見たことはあります!
そうですね。お風呂場の鏡や蛇口についた水あかは酸性洗剤につけると落ちます。
また、換気扇の油汚れや服の皮脂汚れはアルカリ性洗剤や重曹で落ちますね。
それから「アルカリ電池」って言葉は聞いたことある?
アルカリ電池は大きな電流が流れるモーターなどの機器に向いてます。それに対してマンガン電池は、消費電力の少ない時計などの機器に向いてます。
アルカリ電池には、アルカリ性の水酸化カリウム水溶液が入っていて、
マンガン電池には、弱酸性の塩化亜鉛水溶液が入っているのよ。
電池といえば、先日、
久しぶりに幼い頃に遊んでいた「電池で動くおもちゃ」のスイッチを入れてみたところ、
まったく動かなくて、電池のところを確認すると白い粉状のものがついていました。
あれってどういうことになっているのでしょうか。
それは、電池の中にある水溶液がもれ出て、乾燥したことによって水溶液に溶けていたものが電池の表面に張り付いてしまったものよ。
液もれしてしまった電池はもう使えません。危険性もあるので速やかに正しく廃棄処分*したほうがいいですね。
* アルカリ電池の白い粉は、非常にアルカリ性の強い水酸化カリウムという物質で、さわると化学やけどをする危険性があります。また、粉が目に入った場合は失明の危険性もあります。手についてしまった場合はしっかりと洗い流してください。目に入った場合はこすらず大量の水道水で洗い流し、すぐに医師の治療を受けてください。
白く結晶化してしまった粉は飛び散らないようにティッシュやウェットティッシュ(数枚重ねる)などで取り除き、正しく廃棄(※各市町村の指示に従って処分)しましょう。
先生、「酸性雨」という言葉も聞いたことあります!
「酸性雨」は、工場や自動車から排出される硫黄酸化物や窒素酸化物による大気汚染によっておこる環境問題として問題視されていますね。硫黄酸化物などが溶け込んだ酸性雨が降ることで土壌が酸性化し、植物の生存に必要なカルシウムやマグネシウムが溶けだしてしまい、植物の生育が悪くなります。
先生、「酸性」や「アルカリ性」などは、どうやってわかるのですか?
「pH(ピーエイチ)」という水素イオン濃度指数で分類されます。
pH7は中性、それよりpHの値が下がっていくと酸性、上がっていくとアルカリ性です。
水のpHは7ですが、空気中の二酸化炭素が十分に溶け込むと炭酸水と呼ばれpHが5.6付近まで下がります。さらに先ほど説明しました工場や自動車からの排気ガスが溶け込んで酸性雨となり、平均4.8のpHを示すと言われています。
またアルカリ電池に入っている水酸化カリウムはpH14と非常に強いアルカリ性を示すことがわかります。
たとえばpHが7から6に下がると、水素イオンH+濃度は10倍上がります。またpHが6から5に下がると、水素イオンH+濃度はさらに10倍上がります。つまりpHが7から5に下がると、水素イオンH+濃度は100倍上がるということです。
そのほかの身の回りにある水溶液のpHはどうなっているのかな?
身の回りにある水溶液のpHを予想してみましょう!
ヒント①:酸性の水溶液はなめると「すっぱい」という特徴があります。
ヒント②:重曹はアルカリ性洗剤と同じ目的で使用されます。
ヒントから考えると「レモン果汁」はすっぱいから、酸性かな?
しょっぱい食塩水はどこに分類されるのだろう?
「重曹」がアルカリ性洗剤と同じ目的ということはアルカリ性かな?
「リトマス試験紙」を用いると色の変化で、酸性・アルカリ性が分かります。
(青から赤に変化:酸性、赤から青に変化:アルカリ性)
でも、「リトマス試験紙」ではpHの値までは知ることはできません。
pHの値を知りたい場合は「pH試験紙」や「pHメーター」などを利用します。
より正確な数値を調べる場合には、「pHメーター」で測定します。
(中学校、高等学校での理科の実験で使います)
さて、今まで、生活の中のいろいろな水溶液を見てきましたが
じつは、私たちの身体の中もpHをはかることができます。
身体の中は場所によって、酸性またはアルカリ性に違いがあり、それぞれ決まった値で保たれているの。
僕たちの身体の中は、重要な役割のためにバランスよくpHが保たれているんだなぁ。