コロナウイルスの感染拡大初期の頃、日本での感染確認検査数は多くの諸外国と比べるとわずかでした。日本における4月末時点の人口あたりの検査数は、経済協力開発機構(OECD)加盟国36カ国中で下から2番目の少なさでした。OECD加盟国の平均検査数は、人口1,000人あたり22.9人でしたが、日本ではその10分の1以下の1,000人あたり1.8人で、これより少ないのはメキシコだけでした。したがって、日本でのCOVID-19の感染者数や死者数は、実際より低く見積もられているのではないかと懸念されていました。検査数の少ないいくつかの国では、COVID-19による死者数は、実際よりもずっと少なく公表されています。このことは、実際の死者数と、国別の死亡率の推移と前年の死者数のデータから算出される予測死者数とを比較することで説明できます。もし、実際の死者数と予測死者数との差がCOVID-19で死亡したとされる死者数を大きく超過していれば、COVID-19による死者数は、実際より過小に見積もられているといえます。たとえば、インドネシア政府は、ジャカルタでの3月から5月のCOVID-19による死者数は520人であるとしていますが、例年の同時期よりも4,200人以上多く死亡しています。また、エクアドルでは、同時期の死者数は公式発表されているCOVID-19の死者数の6倍にものぼっています。しかしながら、日本における2月と3月の全死者数は、幸いにも前年を下回っていました(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2020/dl/202003.pdf )。
日本は超高齢社会であるため、死亡者は毎年増えています。これらの結果は、日本で報告されているCOVID-19による死者数が正確であることを証明するものではありません。しかし、日本でのCOVID-19の死者数は、全死者数に対して統計学的に明らかな影響を及ぼすほど多くはないことを示しています。さらに、日本で報告されているCOVID-19による死者数は、実際より大幅な過小評価はされていないことを示唆しています。