2022/4/19
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種の効果は時間の経過とともに低下します。したがって、現時点では、まだ3回目の接種が終わっていない人も多いにもかかわらず、4回目の接種に向けた準備を始める必要があります。しかしながら、4回目接種は効果が限定的だとする報告もあり、欧州医薬品庁などは、4回目接種の早急な実施は不要との見解を示しています(図1)。また、多くの国では、対象者を限定して進めています。接種の対象となるのは高齢者や介護施設の入所者、職員、医療従事者などであり、免疫不全など重症化リスクが極めて高い人に絞る国もあります(図1)。このような状況で、今回は、イスラエルにおいて、オミクロン変異株流行中に同ワクチン4回目を接種した60歳以上125万人超を対象に行った試験の結果を述べた論文(文献1)を報告致します。
イスラエルでは、2022年1月2日より、60歳以上を対象としたBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の4回目接種を開始していた。4回目接種は、3回のみ接種した場合と比べて、SARS-CoV-2(オミクロン変異株B.1.1.529)感染率およびCOVID-19重症化率を低下することが期待されるので、これを評価することを目的とした。
ワクチン4回目を接種した60歳以上125万人超を対象に、COVID-19感染・重症化予防効果を疑似ポアソン回帰*1で分析した。イスラエル保健省のデータベースを用いて、オミクロン変異株流行期間中(2022年1月10日~3月2日)にCOVID-19ワクチン4回目接種の対象だった60歳以上125万2,331人に関するデータを抽出・解析した。
感染率と重症COVID-19について、①ワクチン4回目接種後8日以上経過した(4回接種)群と、②3回のみ接種した(3回接種)群、また、②4回目接種後3~7日(4回接種早期)群を比較した。発症率は疑似ポアソン回帰モデル*1を用い、年齢、性別、人口統計上の集団、暦日によって補正を行い推算した。
本データは4回目のワクチン接種が、感染率およびCOVID-19重症化率を低下するのに有効であることを示唆していた。したがって、医療従事者、高齢者や脆弱な集団に対する接種は推奨される。