2022/10/4
9月17日の「世界患者安全の日」*1(図1)を目前にして、テドロス世界保健機関(WHO)事務局長の声明が全世界に向けて発信されました。その中で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いについて「終わりが視野に入ってきた」と述べて、世界中から注目されたのを御存知の方もいらっしゃると思います。そこで、今回は、論文ではありませんが、このブリーフィング(文献1)のCOVID-19に関係した箇所を和訳して紹介致します。
おはよう!こんにちは!こんばんは!先週、COVID-19による週間死者数は、2020年3月以来、最も低くなりました。私たちはまだそこに至っていませんが、パンデミックの終わりが視野に入ってきました。マラソンランナーはゴールラインが見えても立ち止まりません。残ったエネルギーを振り絞って、一生懸命に走ります。私たちもそうしなければいけません。終わりのラインは見えて、勝てる状況にあります。したがって、今は、走るのを止めるには最悪の時期です。今は、より激しく走って、最後のラインを横切ることを確実にして、全ての重労働に対する報酬を得る時なのです。もし、この機会を逃せば、より多くの変異株、死者数、混乱、そして、不確実性と向き合う危険性に晒されます。この機会を掴み取りましょう。
今日、WHOは、レースを終わらせるために全ての国の政府が取り組むべき鍵になる 6つの政策を発表します。それは、命を救い、医療システムを擁護し、社会的、経済的破綻を避けるためにはどうするのが最も良いかを過去32ヶ月の証拠と経験に基づいた要約です。それぞれの政府がこれらの政策を綿密に検討し、COVID-19やパンデミックの可能性を持った将来の病原菌に対して強固なものにするように求めます。
これらの6つの政策は、それぞれの政府が詳細を検討できる様、オン・ラインでアクセスできます。
WHOがCOVID-19の克服のため、休むことなく力を尽くして頂いているのは敬服します。しかしながら、抗ウィルス治療薬などが確立出来ていない現状において、テドロス事務局長の言う「終わりが視野に入って来た」という表現にはその根拠について少しも言及されていない以上、違和感を感じ得ざるを得ません。