最近、2価ワクチンという言葉を耳にされた人が多いのではないでしょうか? オミクロン株対応2価ワクチンは、mRNAワクチンの一つで、従来株(新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 発生時の株)に由来する成分と、オミクロン株に由来する成分の両方を含む「2価ワクチン」です (図1)。従来型の単価ワクチンと比較して、従来型を上回る重症化予防効果とともに、感染予防効果や発症予防効果も予想されています。また、2価のワクチンであることにより、様々な新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) に反応するため、今後の多様な変異株に対しても有効である可能性が高いのではないかと期待されます。これらの考えに一致して、ハーバード大学医学部・ブリガム&ウィメンズ病院のSpyros Chalkias博士らは、現在進行中の臨床試験(第II/III相)*1の中間解析の結果、オミクロン株対応2価ワクチンは、単価ワクチンよりオミクロン株に対する中和抗体反応が優れており、安全性に関する懸念は認められなかったことを報告しましたので、今回はこの論文 (文献1) を紹介致します。
これまで、オミクロン株対応2価ワクチンmRNA-1273.214の追加接種の安全性および免疫原性*2は明らかにされていないので、現在進行中の第II/III相試験 (ClinicalTrials.gov number, NCT04927065) の中間解析を通して評価した。
著者らは、単価ワクチンmRNA-1273(起源株Wuhan-Hu-1のスパイクタンパク質をコードするmRNA)を2回接種(100μg)し、1回目の追加接種(50μg)を3ヵ月以上前に受けた成人を対象に、50μgの2価ワクチンmRNA-1273.214(mRNA-1273を25μg、オミクロン株B.1.1.529[BA.1]のスパイクタンパク質をコードするmRNAを25μg)を接種する群と、50μgの単価ワクチンmRNA-1273を接種する群に順次登録し、2回目の追加接種を行い、接種後28日時点のmRNA-1273.214の安全性、反応原性*3、免疫原性を評価した。
以上の結果より、オミクロン株対応2価ワクチン; mRNA-1273.214は、単価ワクチン; mRNA-1273よりオミクロン株に対する中和抗体反応が優れており、安全性に関する懸念も認められなかったと判断した。