2022/2/1
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急速な拡大が進む中、ウイルス治療薬が確立されるまでの頼みの綱はワクチンしかありません。これに関連して、N Engl J Med.(NEJM)誌オンライン版でCOVID-19のmRNAワクチン2回接種から6ヵ月以降に3回目の接種を受けると、オミクロン株に対する中和抗体価が大きく上昇すること、ワクチン未接種の既感染者においてもmRNAワクチンの接種によりオミクロン株に対する中和抗体価が大きく上昇したことが示されたのはワクチン3回目の接種の必要性を強く支持すると思われますのでこれを御報告致します(文献1)。
オミクロン株(B.1.1.159)は、最初に同定された武漢株に比べると、スパイク領域の蛋白受容体結合ドメインやN末端ドメインにおいて32個の変異が起きている。以前より、オミクロン株は、COVID-19から回復した多くの患者やmRNAワクチンを2回接種した人における中和抗体を回避することが推定されていたが、本研究では、COVID-19のmRNAワクチン3回目の接種のオミクロン株に対する有効性を評価することを目的とする。
この目的のため、COVID-19のワクチン接種、または、感染、あるいはその両方で曝露された47人における169の血漿検体において、武漢株、及び、オミクロン株などに対する中和抗体価を測定した。
これらの結果は、オミクロン株は、従来の武漢株などに比べて中和抗体を回避する活性が高いものの、これまでと同じワクチンを接種することにより、オミクロン株感染の増大を防ぐことが可能であることを示唆している。