中村)大学では栄養学を専攻していました。
料理することや食べることが好きだったこともありますし、身近な人に生活習慣病の方がいて、食事に気を配っている様子を知り、詳しく勉強したかったからです。
大学で食事療法について学ぶ中で、その対象は糖尿病や腎臓病の患者さんであることが多く、もっと他の症状にも活用できないかを探求したくて大学院進学を選択しました。
中村)大学で 栄養学の勉強をしながら、もっと研究に携われる環境を探していて、別の大学で研究アシスタントとしても勤務していました。医学研を知ったのは、アシスタント先の先生が医学研に移籍したことがきっかけです。
その先生が医学研に移ったタイミング(学部3年生)で、私もアシスタントとして医学研に移籍させていただきました。医学研で継続して研究するために「連携大学院」制度のある大学院に進学しました。
中村)異分野からの私にも研究の基礎を丁寧に教えていただいたこともあり、サポート面での心配はありませんでした。また、連携教官をしてくださっている七田先生(脳卒中ルネサンスプロジェクトリーダー)にも学部生の頃からお世話になっていたので、不安はありませんでした。興味がある研究室がある方は、見学をおすすめします。
中村)七田先生は今まであった先生の中で、一番教育熱心な先生だと思います。
実験の仕方だけでなく、研究に対する考え方なども教えてくださいましたし、教科書の輪読会を主催していただき知識も深められました。研究の結果が揃ってからのディスカッションも一人一人時間をとっていただいてありがたかったです。
七田研は学生数がそこまで多くなく、先生の目が行き届くことが大きいのかもしれませんが、院生全員で学振を通過できたのは、七田先生のおかげだと思っています。
中村)きれいな施設で、設備が充実している点です。図書室の環境も整っていてオンラインの発表でブースも使っています。仮眠室があるのもポイントが高いのではないでしょうか。また、大学で共通する機器を使用する場合は、登録して利用料を支払う場合もあると聞きますが、医学研で費用を取られたことはないので、研究しやすい環境だと思います。
中村)はい。機器だけでなく、川路先生(ゲノム医学研究センター)に依頼して、次世代シーケンスを利用したシングルセルRNA-seq解析をしていただき共同で研究する機会も得られました。外部に依頼すると費用もかかりますし、医学研だからこそできた研究だと思います。
中村)現在は、脳梗塞後の脳内における脂質代謝に着目しています。脂質を介して、脳梗塞後の脳の機能回復を食事からアプローチできないかを研究中です。現在、神経疾患に対する栄養学的アプローチはほとんど存在しませんが、だからこそ取り組みがいのある面白い課題だと感じています。
中村)自分の研究を最後までやり遂げたかったからです。
修士の頃から、博士の大変さは聞いていましたが、ずっと続けていた研究にいい結果が出たときに、修士で修了して論文にできないのはもったいないと感じました。博士課程では、今までの実験データをまとめて論文として投稿できるフェーズまで到達できたので、続けてきて良かったです。
もちろんモチベーションだけでなく、医学研のRA(リサーチアシスタント)制度もあり、経済的にも持続可能な見通しが立ったことも大きかったです。
中村)就職することも視野にありましたが、アカデミアは自分の夢を追いかけて、ある程度自由に研究立案できることが利点だと思います。
博士課程は大変だと聞き及んでいましたし、私自身も覚悟していたつもりですが、論文投稿までにはエネルギーが必要でした。研究とプライベートを両立しつつ、生活リズムを整えて頑張ってください!