
最近、神経変性疾患の治療研究の領域において、高齢者のワクチン接種により、認知症のリスクが低減する可能性が注目されています。前回までに、HZVの接種に認知症を予防し、引き続き、すでに進行した認知症に対する治療効果があることを報告した論文を紹介いたしました。(帯状疱疹のワクチン接種は認知症リスクの低減に有効!?〈2025/11/20掲載〉)、(帯状疱疹ワクチンは進行した認知症の治療にも有効か!?〈2026/1/6掲載〉)。しかしながら、HZV特異性に関しては不明であり、実際、インフルエンザワクチンなど、他のワクチンによる認知症予防効果に関する報告もありました。このような状況で、イタリア・国立研究評議会神経科学研究所*2のStefania Maggi博士、及び、共同研究者は、高齢者における認知症のリスクとワクチン接種による予防効果に関するシステマティックレビューとメタアナリシスを行いました。その結果、HZVだけでなく、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンにおいてもADや認知症リスクの低減に繋がることが示されました(図1)。メカニズムに関しては、おそらく、ワクチン接種により、免疫系が賦活され、炎症が抑制される可能性などが考えられますが(図1)、アジュバントなどワクチンの解析において、抗ウイルス作用以外の効果が寄与し得る可能性を考慮すれば、今後の研究が必要であると思われます。これらの結果は、最近のAge and Ageing誌に掲載されましたので、今回は、この論文(文献1)を報告いたします。
文献1.
Stefania Maggi et al., Association between vaccinations and risk of dementia: a systematic review and meta-analysis Age and Ageing, Volume 54, Issue 11, November 2025, afaf331
現代の高齢化社会において、認知症の予防は公衆衛生上の最優先事項の一つであるが、ウイルス感染に対するワクチン接種の役割については解明されていない。
本プロジェクトは、一般的な成人ワクチン接種が認知症のリスク低下と関連しているかどうかを評価するために、システマティックレビュー・メタアナリシスを通して、この問題にアプローチすることを研究目的とする。
帯状疱疹ウイルス、インフルエンザ、肺炎球菌、Tdapに対する成人の予防接種は、ADやその他の認知症のリスクが低いことと関連していた。したがって、高齢者における認知症予防のために、ワクチン接種戦略を組み込むことが考えられる。