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2021/5/11

新型コロナウイルス感染症患者の眼症状

文責:原田高幸

新型コロナウイルス(COVID-19)感染者の眼所見として、結膜炎が多いことを昨年ご紹介しました(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の眼所⾒)。しかし結膜炎は別のウイルスや細菌でも起きるだけでなく、自覚症状もさまざまで、慢性的な患者さんも多いものです。そこでCOVID-19の感染前と感染中の眼症状を比較して、COVID-19陽性者に特徴的な症状を調べた英国の論文をご紹介します。

BMJ Open Ophthalmology 5:e000632 2020.

研究者らはCOVID-19陽性の診断を受けた83名(18歳以上)にオンラインでアンケート調査を行いました。主要な症状は疲労感(90%)、発熱(76%)、嗅覚や味覚の喪失(70%)、咳(66%)でした。

患者の81%は感染後2週間以内に眼症状を経験し、その80%が2週間以内に治りました。症状としてはphotophobia(羞明、まぶしく感じること、18%)、itchy eyes(目のかゆみ、17%)、sore eyes(ヒリヒリとするような痛みを伴う結膜の違和感、16%)、涙目、異物感、目やになどが挙げられました。これらの眼症状のうち、感染中の方が感染前より有意に増えたのはsore eyes(5%→16%)だけで、年齢や性別による差はありませんでした。さらに過去10カ月間のGoogle検索では「sore eyes」の検索回数が大きく増加していたそうです。

結膜炎の原因や症状は多岐にわたるため、著者らはCOVID-19による眼症状で最も多いのは「conjunctivitis(結膜炎)」ではなく、「sore eyes」とすべき、としています。今回の調査は患者数が少ない上に自己申告制であること、さらにオンライン調査に対応できる人のみが対象であったため、今後のさらなる検討が待たれます。

一方で別の論文によると、COVID-19による眼所見として、より重篤な視神経炎、網膜血管閉塞、急性網膜症、ぶどう膜炎などが報告されており(Indian J Ophthalmol 69:488-509, 2021; )、結膜炎だけでは済まない可能性も出てきています。

眼は表面からウイルスの侵入が可能なため、コンタクトレンズよりも眼鏡の使用が推奨されるなど、注意が必要な状況が続いています。最近は変異型COVID-19の出現に伴い、これまでよりも感染力や重症度が増しているとの報告も相次いでいます。コンタクトレンズや目に触る時には良く手洗いをする、目をこすらないなど、まずは基本的なところから注意していきたいものです。