基盤技術支援センター

研究技術開発室 / ヒストロジー支援室

ヒストロジー支援室では、光学顕微鏡と電子顕微鏡の組織標本作製を業務としています。

主な業務内容

(1) 光学顕微鏡標本の作製

顕微鏡で組織構造を観察するためには、① 固定、② 包埋、③ 薄切、④ 染色の手順を踏みます。

光学顕微鏡標本の作製

まず初めに、組織を生体に近い状態で保存するため、ホルムアルデヒド(いわゆるホルマリン)に浸漬します。このことを固定と言います。組織はそのまま置いておくと腐ってしまうため、腐らないようにするための非常に重要な処理です。

次に、顕微鏡で観察するには光が通過できなければならないため、組織を薄くスライスしていきます。薄く切るためには適度な硬さが必要で、組織をパラフィン(ろうそくのロウのようなもの)に埋め込みます(包埋)。そして、ミクロトームという機器を用いて、光が透過できる厚さ(3~5μm=1mmの1/200以下)に組織を薄く切ります(薄切)。このままでは無色であるため、観察しやすいように1つもしくは複数の色素で組織を染め分けます(染色)。

これらの処理を経てはじめて、顕微鏡で観察できるようになります。

(2) 透過型電子顕微鏡標本の作製

光学顕微鏡の数十~数百倍の倍率で観察するためには、ホルムアルデヒド固定では不十分で、グルタールアルデヒドと四酸化オスミウムを用います。電子線が透過できる厚さ(50~80nm=1mm の1/12000以下、光学顕微鏡標本の1/100以下)に切るため、組織はパラフィンではなくエポキシ樹脂(プラスチックのようなもの)に埋め込みます。染色には色素ではなく重金属を用います。

透過型電子顕微鏡標本の作製

左)透過型電子顕微鏡、右)自動染色装置