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第1回TMEDフォーラム

第1回TMEDフォーラム(多摩キャンパス・医学研の研究発表会)

東京都医学総合研究所(医学研)では、多摩キャンパスの都立多摩総合医療センター、都立小児総合医療センター、都立神経病院、府中療育センターとの連携強化のための合同研究発表会として、3月16日(水)に第1回TMED(ティーメド)※1フォーラムを開催しました。

多摩キャンパスと医学研の連携の歴史は、府中療育センター・神経病院と医学研の前身の東京都神経科学総合研究所の時代から重ねられ拡充してきました。本年2月に発表された「多摩メディカル・キャンパスあり方検討会報告書」においても、3院の新たな医療課題である先進医療・臨床研究の機能強化策に、医学研との連携強化があげられています。

第1回のフォーラムは、各機関がどのような取組を行っているかを知り、「相互に顔が見える関係を築く」ことをコンセプトに実施し、4機関のドクターや、医学研の研究者など、あわせて146名が参加しました。

フォーラムの第1部では、医学研の新井信隆副所長及び各分野長等から医学研の施設・体制や各研究分野の紹介を行ったのち、多摩キャンパスと医学研の共同研究の実例として、2題とりあげました。

1題目は、医学研の林雅晴脳発達・神経再生研究分野長と、府中療育センターの小児科医で医学研のこどもの脳プロジェクト・客員研究員でもある田沼直之医長から、小児総合医療センターと共同で実施している「小児の頭部外傷でのマーカー解析」について講演がありました。大人の頭部外傷の予後予測に有用と報告されているタンパク質S100Bについて、小児の頭部外傷患者の血液・尿中の濃度を解析する研究です。研究が進み、予後マーカーとしての有用性が示されれば、児童虐待などの頭部外傷事例の予後予測などに役立つ可能性があります。

2題目は、神経病院の飛澤晋介脳神経内科医長と医学研の運動障害プロジェクトの筧慎治プロジェクトリーダー・李鐘吴研究員より、「手首運動を利用した運動機能の評価」について講演がありました。中枢神経疾患患者に手首を動かして目標を追跡する運動を行ってもらい、その時の手首の動きから脳内の運動中枢の状態を非侵襲的※2に推定する研究です。専門医でも識別しにくい運動の細部に、固有の特徴的なパターンがあることがわかってきました。今後、このシステムを発展させ、神経疾患の病態評価や、リハビリテーションの効果判定に利用できる可能性があります。

フォーラムの第2部では、医学研のプロジェクト・研究室・支援部門の取組を記載したポスターを用いたセッションを行いました。30枚を超えるポスターが講堂の壁を囲む風景は圧巻で、病院等のドクターは自由にポスターを見ながら、興味のある内容について、直接医学研の研究者と意見交換を行いました。

病院等のドクターからは、「臨床の場で疑問に思うことがあっても、なかなか研究スキルや研究方法を考えるまでいかずにいたが、医学研とコラボレーションすると解決できるかもしれないと思った。」「若い研修医にも、リサーチマインドの大切さを伝えたい。」などといった声がきかれました。

医学研では、この4月に、各都立病院と共同研究の促進や教育・研修の協力、研修生の受入れなどを定めた包括的な協定を締結し、さらに強固な連携体制を構築する予定です。今後とも、TMEDフォーラムなどを活用しながら、多摩キャンパスとのさらなる連携強化に向けた取組に着手していきます。


※1 TMEDフォーラム:Tama translational MEDical science forumの略。
※2 非侵襲的:身体に痛みや刺激を伴わないような方法であること。

写真:上から、府中療育センター 田沼先生、神経病院・飛澤先生 医学研・筧リーダー・李研究員の発表、ポスターセッションの様子

写真:左(上)から、府中療育センター 田沼先生、神経病院・飛澤先生 医学研・筧リーダー・李研究員の発表、ポスターセッションの様子