開催報告

2023年度 第2回 都医学研都民講座(2023年6月9日 開催)
基礎医学からみたパーキンソン病


副所長 齊藤 実

6月9日(金曜日)、「基礎医学からみたパーキンソン病」と題して、第2回都医学研都民講座をハイブリッド方式で開催しました。今回は、生理学研究所名誉教授の南部篤先生を講師にお迎えしました。

パーキンソン病は、手足の震え、動かしにくさ、強張り等の運動症状に加え、睡眠障害や便秘等を示す神経難病です。そして、日本における患者数は、60歳以上になると、100人に 1人といわれ、発症する人が多いことから、大きな問題となっています。パーキンソン病の発症原因は、脳内で神経伝達物質として働くドーパミンという物質が減少することです。先生は、ドーパミンが減少した結果、脳にどのような変調を来し、どのようなメカニズムで症状が出るのかについて、実験・研究をしてきたそうです。その結果、これらの変調を修正すると症状が軽減することもわかってきたとのことでした。また、パーキンソン病の発症初期の治療は、薬物療法が中心となり、70 歳から 75 歳までは L- ドーパ、70歳以下はドーパミンアゴニストが用いられます。ただし、薬物療法には副作用もあり、身体が勝手に動いてしまう不随意運動が現れることがあります。さらに、進行期になると、脳内の異常が発生している箇所に対し、電極を入れて電気を流して壊す脳深部刺激療法と呼ばれる脳外科的治療法が行われることがあるとお話しいただきました。

齊藤副所長と南部篤先生(右)
齊藤副所長(左)と南部篤先生(右)

講演後のアンケートでは、「父がパーキンソン病なので受講しました。メカニズムや治療の現状がわかりやすかったです。研究によって、より安全で効果的な治療法ができると嬉しいです。」「パーキンソン病の仕組みや治療について教えていただき、病態がイメージしやすくなりました。」といった御意見を多く頂きました。