開催報告

2023年度 第3回 都医学研都民講座(2023年7月24日 開催)
今語られるiPS細胞誕生への道のり


再生医療プロジェクトリーダー 宮岡 佑一郎

宮岡佑一郎プロジェクトリーダー
宮岡佑一郎プロジェクトリーダー

京都大学 iPS 細胞研究所准教授の高橋和利先生をお迎えし、「今語られる iPS 細胞誕生への道のり」と題して、都民講座を開催しました。まず私からは、「iPS 細胞誕生の衝撃」と題して、正直なところ嘘だと思ったくらい、iPS 細胞の誕生には驚いたということをお話しました。

続いて、高橋先生から、「iPS 細胞」と題してお話しいただきました。1890 年代当時の遺伝子と分化の関係に対する考え方にまで遡り、そこからクローンカエル、クローン羊などの誕生、マスター遺伝子である MyoD による皮膚から筋肉の細胞への転換といった、歴史的な発見に触れ、いかにして過去の研究が iPS 細胞誕生へとつながっていったかをご説明くださいました。実際に高橋先生が山中先生の研究室で、未分化状態を誘導するための 24 個の候補遺伝子をマウスの皮膚の細胞に導入したところ、期待通りあらゆる細胞に分化できる細胞の作出に成功したこと、最終的に遺伝子を 4 個に絞り込み、2006 年に iPS 細胞として発表したことをお話しいただきました。

高橋和利先生
高橋和利先生

iPS 細胞ができたときに考えたことなど、高橋先生にしか語れないエピソードを数多くお話しいただき、参加していただいたみなさんにも、また私にとっても貴重な時間となりました。科学史の講義としても、非常に価値のあるものだったと思います。久しぶりに対面で開催できたことも、とても嬉しく思いました。