開催報告

2024年度 都医学研夏のセミナー 「基礎・技術コース」(2024年7月31日~8月2日実施)
神経細胞を可視化して大脳新皮質の層構造の成り立ちを探る


脳神経回路形成プロジェクトリーダー丸山 千秋

今年も「神経細胞を可視化して大脳新皮質の層構造の成り立ちを探る」というテーマで夏のセミナーを実施しました。これまでの研究所見学で研究に興味を持っている高校生が多数いたことから、今回は対象を高校生に限定して募集し、高校1年生1名、2年生2名、3年生1名の4名が参加しました。哺乳類大脳新皮質の 6層構造は層ごとに特徴的な性質を持ち、層構造を持たない非哺乳類では異なる遺伝子発現様式を示します。そこで、上層ニューロンと深層ニューロンの層の性質を持つ神経細胞に着目して実験を行いました。大脳発生について概説後、子宮内や卵内エレクトロポレーション実験を見学しました。続いてマウスとニワトリの脳切片を用いてニューロンマーカーの抗体染色を行いました。マウスでは下層ニューロンのマーカーのシグナルは 6 層の深部に、逆に上層マーカーのシグナルは上層部に検出されました。これに対しニワトリ脳では層構造ではなく、ある領域が染まるといった核構造が検出でき、大脳の構造が種間で異なることがわかりました。参加者は実験データをまとめ、結果の発表会と考察を研究室メンバーと行い、「高校では実習はごく限られており、今回は実際に自分で実験をして結果を見て研究者の方々と議論ができてとても楽しくまた貴重な経験でした。」との感想をいただきました。

実習の様子
実習の様子