2026 年3月 22 日、感染症医学研究センター 感染制御ユニットの安井文彦ユニットリーダーが、第 50 回「多ケ谷勇記念ワクチン研究」イスクラ奨励賞を受賞しました。これは、ワクチン研究の発展に顕著な貢献をした研究者に贈られる権威ある賞であり、安井ユニットリーダーの長年の研究が高く評価された栄誉を示すものです。
安井ユニットリーダーの研究グループは長年にわたり、より安全で効果的な「ウイルスベクターワクチン」の開発に取り組んできました。今回評価されたのは、天然痘ワクチンとして実績のあるワクシニアウイルスを高度に弱毒化し、それを「運び屋(ベクター)」として活用することで、新型コロナウイルスや新興感染症に対する次世代型ワクチンを開発する研究の革新性です。
「多ケ谷勇記念ワクチン研究」イスクラ奨励賞は、日本の公衆衛生に尽力した多ケ谷勇博士のお名前を冠した賞です。
そのルーツは 1960 年代に遡ります。当時、日本国内ではポリオ(小児麻痺)が大流行し、多くの子どもたちが命を落としたり後遺症に苦しんだりしていました。この危機の際、イスクラ産業株式会社が旧ソ連からの生ワクチンの緊急輸入を実現させました。そのワクチン導入を医学的・科学的側面から主導し、日本のポリオ根絶に決定的な役割を果たしたのが、当時国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)の多ケ谷勇博士でした。
この「イスクラ奨励賞」は、博士の志を継ぎ、ワクチンの開発や感染症制御の分野で顕著な業績を挙げた若手から中堅の研究者を支援することを目的に、今年で第 50 回の節目を迎えました。
従来のワクチンと比較して、本研究が特筆される点は以下の4点です。
この成果は、現在蔓延しているウイルス感染症に対する「制圧」のみならず、将来起こりうる新たなパンデミックに対する「備え」として、国際的にも極めて重要な意義を持っています。
「この度は、歴史ある多ケ谷勇記念ワクチン研究奨励賞をいただき、大変光栄に存じます。今回の受賞にあたり、これまでご指導いただきました先生方、共に研究に邁進してきたチームのメンバー、そして支援してくださったすべての関係者に心より感謝申し上げます。現在、私たちは新たな感染症の脅威に常にさらされています。多ケ谷先生がポリオに立ち向かったときのような情熱を持ち、基礎研究の成果を一日も早く社会に還元できるよう、実用化に向けた研究をさらに加速させていきたいと考えています。」