感染症医学研究センター 免疫制御ユニットリーダー 山根 大典
2026 年2月 10 日(火)、金沢大学 医薬保健研究域 医学系消化器内科学の島上哲朗准教授をお招きし、「あなたの肝臓大丈夫ですか?~肝がん撲滅をめざして~」をテーマに第7回都医学研都民講座を開催しました。当日は、肝臓病の現状、最新治療、予防のポイントについてお話しいただき、多くの参加者が熱心に耳を傾けていました。
本講演では、C 型肝炎ウイルスが広まった背景やウイルス発見の経緯、基礎研究から抗ウイルス薬開発に至る道のりが紹介されました。B 型肝炎ウイルスや C 型肝炎ウイルスなどが引き起こすウイルス性肝炎は肝がんの主要な原因の一つですが、抗ウイルス療法により肝がんを抑制することができます。特に、C 型肝炎ウイルスに対する治療はこの 10 年で大きく進歩しています。2014 年以降に登場した、副作用の少ない経口薬である直接作用型抗ウイルス薬(DAA)を8~ 12 週間服用することで、100% 近い確率でウイルスを駆除でき、新規感染は減少しています。しかし、ウイルス駆除後も肝がんのリスクは残るため、定期的な検査が重要です。未受診者の検査促進や治療につながっていない感染者の把握、肝がん予防が今後の課題として挙げられました。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進んでも自覚症状が出にくい特徴があります。慢性肝炎が進行すると肝硬変に至り、肝がんの発症リスクが高まります。かつては C 型肝炎が主要因でしたが、治療の普及によりその割合は減少し、近年は生活習慣と関連する脂肪肝が原因となる肝がんが増加しています。脂肪肝は、放置すると肝硬変や肝がんに進行する可能性があります。糖尿病や高血圧などの生活習慣病と併発しやすく、治療の基本は食事と運動による体重管理であり、体重の8%以上の減量が肝臓の改善に寄与することが紹介されました。
肝臓の特に「硬さ(線維化の度合い)」は病気の進行度を測る重要な指標です。以前は肝生検など負担の大きい検査が主流でしたが、現在は採血や超音波検査など体への負担が少ない方法で、肝臓の硬さを推定できるようになっています。
肝がんは早期発見されても他の臓器のがんに比べ5年生存率が低い現実があります。これは肝硬変など基礎疾患を持つ肝臓に発生しやすく、治療後も再発しやすいためです。治療成績には、がんの大きさや数だけでなく、肝臓そのものの機能が影響します。本講座では、手術、薬物療法、放射線治療に加え、ラジオ波焼灼療法や肝動脈塞栓療法など肝がん特有の治療法が紹介されました。
本講座では、肝臓の健康維持のために以下が重要なポイントとして紹介されました。
肝臓は私たちの健康を支える重要な臓器です。今回の講座は、肝臓病の正しい理解と日常生活での予防の大切さを共有する機会となりました。