開催報告

2023年度 第6回 都医学研都民講座(2023年11月17日 開催)
人生100年時代の認知症予防のために


認知症プロジェクトリーダー 長谷川 成人

山田正仁 先生
山田正仁 先生

11月 17日(金曜日)、九段坂病院 院長の山田 正仁先生を講師にお迎えし、「人生 100 年時代の認知症予防のために」と題して開催しました。

社会の超高齢化に伴い、認知症の人やその前段階である軽度認知障害の人は急増しています。認知機能は急激に衰えることはなく、徐々に、物忘れが目立ち始めるものの日常生活を送る上では支障がない軽度認知障害と呼ばれる状態から、さらに悪化すると、出来事自体を忘れてしまい、日常生活に支障が生じるようになってしまう認知症へとつながっていきます。認知症として、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症が知られています。このうち、レビー小体型認知症は、記憶や判断の障害等の認知機能障害が見られ、また、認知機能が日によって変動し、他にも、運動が障害され動きがゆっくりになるパーキンソン症状や幻視等が見られます。血管性認知症は、脳梗塞や脳出血等の脳の血管の病気により神経細胞が障害されると起こるもので、脳の病気が再発するたびに認知症が悪化していきます。アルツハイマー病は、記憶を司る脳の海馬が委縮し、その機能が衰えることが特徴です。症状の進行は、日付が思い出せないこと等から日常生活に支障を来たすことから始まり、そのうち、場所もわからなくなり、徘徊等の問題行動が現れて介護が必要になり、重度になると、人物もわからなくなり、施設への入所が必要になったり、あるいは、寝たきりの状態になってしまいます。また、アルツハイマー病へのかかりやすさの要因として、遺伝的要因、加齢の他に、高血圧・糖尿病等の生活習慣病や、これにつながる生活習慣、うつ病、頭部外傷が挙げられます。一方、かかりにくくさせる要因には、運動、知的活動・社会的活動、教育や、食事習慣として野菜・果物・魚・カロリー控えめの食事が挙げられるとお話しいただきました。

講演後のアンケートでは、「医療者や地域のサービス提供者だけでは、関わっている方を何とかするのに精いっぱいで、もっと理解が深まり認知症の方も地域で暮らしやすい環境になるといいと思っています。そのためにこのような講座を開いていただくことはとても意味のあることだと思います。これからも認知症のことを取り上げていただければと思います。」「都民講座と聞いて一般的な簡単なものかと思いきや専門的かつわかりやすく、しかも先端を行くような内容で非常に興味深く面白かった。認知症に興味が無かったが初めて面白いと思った。」といった御意見を多く頂きました。