開催報告

第44回 サイエンスカフェ in 上北沢(2023年12月2日 開催)
微生物から光る色素を抽出しよう!フィコシアニンとクロロフィルの蛍光観察


学術支援室 主席研究員 笠原 浩二

第44回 サイエンスカフェ in 上北沢を、話題提供者の幹細胞プロジェクト所属東京都立大学の大学院生の長谷部愛佳さん、江川優花さん、船田淳太さん、およびリサーチアシスタントを務めた 6 名の大学院生とともに当研究所の講堂にて対面式で開催しました。「蛍光ペンは、なぜ明るく見えるのか?」を例に蛍光とは何かについてお話しし、水中に生息するワカメなど藻類の仲間であるスピルリナが、フィコシアニンとクロロフィルと呼ばれる二種類の蛍光色素を持っていることを紹介しました。その後の実習で、スピルリナから青色のフィコシアニンを水で抽出し、また緑色のクロロフィルをエタノールで抽出しました。それを紫外線で照らすと、それぞれピンク色と赤色の蛍光で光ることを紫外線防護メガネをかけて観察しました。そしてブロッコリー、ピーマンやサニーレタスなどの野菜に紫外線を当ててもクロロフィルの蛍光によって赤く光ることを確認しました。また身近なものとしてビタミン B2、部屋干し用液体洗剤、使用済ハガキ、蛍光灯、蛍光インクが蛍光で明るく光ることを観察した時は、参加してくださった30 名の小学生の皆さんから歓声が上がっていました。最後に再生医療プロジェクト所属東京医科歯科大学の大学院生の安田有冴さんが、フィコシアニンとクロロフィルが太陽光からエネルギーを吸収し、そのエネルギーで光合成が可能となり水と二酸化炭素から糖と酸素が作られること、部屋干し用洗剤が蛍光増白剤によって衣類の黄ばみを抑えるしくみ、ハガキが蛍光インクのバーコードによって住所の仕分けが自動化されていることを解説しました。当日は開催時間前と休憩&ティータイムに正井所長によるピアノの生演奏もあり、終了後には「白衣着用により科学者の姿を体験できるコーナー」を設け、始終和やかな雰囲気の中で進められました。「実験がとっても楽しかったです。先生、一人ひとりの説明がとても分かりやすかったです。また来たいです。」「子どもが飽きないように休憩やおやつをご用意して下さり、飽きずに参加できました。リサーチアシスタントのみなさんが優しく接してくださったので楽しく、取り組めました。ピアノ生演奏に癒されました。ありがとうございました。」「保護者、幼児も一緒に参加させていただけたのでとても楽しめました。」などの感想をいただきました。

サイエンスカフェの様子