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演者 | 石黒 啓一郎 熊本大学発生医学研究所 染色体制御分野 教授 |
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会場 | オンライン(Zoom) |
日時 | 2021年12月13日(月曜日)16:00~ |
世話人 | 宮岡 佑一郎 再生医療プロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
減数分裂は体細胞分裂と同様の細胞周期の機構を転用しながらも、減数分裂仕様の染色体構造が再構成されるようにプログラムされている(Ishiguro et al., Genes Dev.2014, Kim et al, Nature 2015)。しかしながら、体細胞分裂から減数分裂への切替えが何によって制御されているのかという問題は、生物学の基本問題でありながら種を問わず長年の懸案とされ国際的にも攻め倦んでいた。
最近我々は、体細胞分裂から減数分裂への切替えに決定的な役割を担う新規の核内因子MEIOSIS initiator (MEIOSIN)を同定した(Ishiguro et al, Dev Cell 2020)。MEIOSINはSTRA8と複合体を形成して、減数分裂関連遺伝子を一斉に制御 する転写活性化因子として働く。この事実と符合して、Meiosin を欠損させると 体細胞型サイクリンの異所的発現などmitoticな特徴を示す生殖細胞の蓄積を伴って、減数分裂への進行がブロックされる。また、重要なことにMeiosin KOマウスでは見かけ生殖細胞の分化を正常に遂げているにもかかわらず減数分裂への切替えが見られない。このことは“減数分裂型の細胞周期”が“生殖細胞の分化”と は遺伝学的に分離されるプロセスであることを示唆している。さらに、MEIOSINに直接制御される標的には奇しくもデータベースに眠るhypothetical geneが多く含まれる。実際、それらの中から新規の因子を複数同定し、哺乳類にユニークな減数分裂の制御様式を明らかにした (Takemoto et al, Cell Reports 2020, Fujiwara et al, PLOS Genet. 2020, Horisawa-Takada et al., Nat.Commun. 2021, Tanno et al., bioRxiv2021)。本講演では最近の我々の成果について紹介する。