− この都医学研セミナーは延期となりました。日程決まり次第お知らせします。 −
演者 | 大林 真知子 Department of Neurobiology, Systems Neuroscience Center, University of Pittsburgh School of Medicine(Research Assistant Professor) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 2020年3月9日(月)16:00 ~ |
世話人 | 石川 享宏 運動障害プロジェクト 主席研究員 |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
運動スキルの学習・記憶は、運動の目標設定や組み立てを速やかに行い、運動を正確に素早く遂行するために重要である。例えば、楽器の演奏やタイピングといった複数の動作を順序正しく行う連続動作は、複雑な運動スキルのひとつであり、練習を繰り返し行うことにより正確さと速度が増して上達する。また、長期間にわたって反復練習を行うことにより、ピアニストのような熟練したスキル遂行能力を獲得することもできる。
近年の研究で、一次運動野、背側運動前野も含む脳の広い領域が、運動遂行そのものだけでなく、連続動作の学習・保持にかかわる可能性が示唆されている。しかし、電気刺激などによる脳の賦活化といった従来の方法では、運動学習や記憶における大脳運動野の役割を調べることは困難である。そこで我々は、学習と記憶の保持に影響を与えると考えられるタンパク質合成阻害剤を用いた実験を行った。サルに連続動作課題の練習を長期間行わせた後、タンパク質合成阻害剤を一次運動野に注入し、課題の遂行へ与える影響を調べた結果、一次運動野が長期にわたって訓練をした連続動作の記憶保持に重要な役割を果たす可能性が示唆された。一次運動野や背側運動前野におけるタンパク質合成阻害剤の注入が運動遂行に与える影響、およびこれらの皮質領域における神経活動の記録結果を基に、長期訓練後の複雑な運動スキルの学習・保持における大脳運動野の役割と、長期学習の神経基盤について考察する。